長引く経済リセッションで製造業部門の電力エネルギー需要減少、電力エネルギー会社の負債増加並びに電力料金値下げ、消費低迷による収益悪化などの要因で、各電力エネルギー会社は負債軽減のために自社資産放出を余儀なくされている。
Valor誌の調査によると、電力会社による自社資産売却による電力エネルギー発電能力は、1万4,000メガワットの発電能力を擁するイタイプー水力発電所の約2倍に相当する2万5,000メガワットが予想されており、ブラジルの発電能力の18%に相当する。
また電力会社が自社資産の売却などを考慮している送電部門での送電線延長距離は2万5,000キロメートル、今年10月から送電事業の入札開始が予想されているが、供給が需要を上回っているために落札価格は低くなるとコンサルタント会社Roland Berger副社長は予想している。
ドル高の為替高で外資による負債軽減が急務の電力会社として、ミナス・ジェライス電力公社(CEMIG)はガス配給会社Gasmig の放出、グループ傘下のLight 社並びにRenova社、 Taesa社の経営権や株式の一部譲渡などを余儀なくされている。
昨日、インフラ投資への政府の過剰な介入を排して民間によるインフラ投資を促進するための投資パートナーシップ・プログラム(PPI)の経営審議会では、ブラジル中央電力公社(Eletrobras)傘下の6配電会社、ミナス・ジェライス電力公社(CEMIG)の数カ所の水力発電所の再入札を2017年最終四半期に実施と決定している。
ジウマ大統領弾劾裁判の終焉並びにテーメル新政権誕生で、ブラジルは海外投資家による信頼回復につながっており、今後のブラジルの政治安定や経済回復に期待して、海外投資家は、インフラ整備部門コンセッション入札に積極的に参加すると予想されている。
7月に中国資本State Grid社は、ゼネコン大手カマルゴ・コレア社が擁していたCPFL Energia社の23%に相当する株を58億5,000万レアルで取得、企業経営に参加すると発表していた。
またインフラ分野で豊富な実績のあるカナダ大手ファンドBrookfield社は、パラー州ベロ・モンテ水力発電所から2,000キロメートルの南東部地域に電力エネルギーを送電するコンセッション参加のAbengoa社並びにRenova社の送電事業の買収が市場で話題になっている。
大型インフラ整備プロジェクトの大半は社会経済開発銀行(BNDES)が融資していたにも関わらず、テーメル政権では、民間銀行による融資の拡大や落札ゼネコン企業の資金調達のために、社債発行などによる資金調達で便宜は図る計画を持っている。(2016年9月14日付けヴァロール紙)