連邦政府による600レアルのCOVID-19パンデミック対応の緊急補助金支給などの救済策は、今年のブラジルのGDP伸び率の更なる落込みを阻止する作用に働いた一方で、従業員が理由なき解雇のときなどに引き出せる積立金であるFGTS(勤続年数保証基金)の引出額が積立額を上回っている。
今年初め7か月間のFGTS(勤続年数保証基金)の積立総額は661億1,300万レアルに対して、引出総額は770億6,100万レアル、引出額は積立額を109億4,800万レアル上回っている。
この引出が積立を上回った109億4,800万レアルは、今年7月の5,118億6,500万レアルのFGTSの総資産に比べると僅かに見えるが、このFGTSの総資産の大部分はすでに住宅購入用の長期ローンにコミットされている。
昨年7月の純収益(総額と現金回収の差額)は18億1,000万レアルでプラスに転じたが、2019年末は342億1,000万レアルの赤字を計上していた。FGTS(勤続年数保証基金)ファンドが最後に積立よりも引出が上回ったのは1999年で流出は2億1,593万レアルの赤字を計上していた。
今年1月のFGTS(勤続年数保証基金)の積立は135億レアル、2月は106億レアル、3月も106億レアルで推移していたが、COVID-19パンデミックの影響がでた4月~6月は65億レアル前後に減少したが、景気回復の7月は114億レアルに上昇して引出額の112億レアルを上回った。
一方今年1月~4月のFGTS(勤続年数保証基金)の引出は100億レアル前後で推移していたが、5月は131億レアル、6月は114億レアルと3ヶ月連続で赤字を計上していた要因として、COVID-19パンデミックの影響で従業員は時短、サラリーカット並びに一時解雇などが余儀なくされていた。