欧米を中心とした先進諸国の景気減速で、今年の世界の鉄鋼業界の設備稼働率は中国を除いて大幅に低下してきており、ブラジルの鉄鋼業界の平均設備稼働率は70%から75%と予想されている。
ブラジル鉄鋼院(IABr)のマルコポーロ・メロ・ロペス会長は、鋼板生産のウジミナス社やアーセロール・ミッタル社の設備稼働率は70%前後まで落ち込んでいると心配している。
しかし好調に推移している建設部門向け棒鋼を生産するゲルダウ社の設備稼働率は85%から90%、国内景気が大幅に落ち込んでいる米国は70%に留まっている。
ヴォトランチンはコスト削減のためにリオ州バーラ・マンサ製鉄所の2高炉を操業停止、しかし設備稼働率が80%のリオ州レゼンデ製鉄所は操業を継続、ブラジル全体の稼働率は60%から62%となっている。
ブラジル鉄鋼院ではブラジル国内の鉄鋼生産能力は4,700万トンあるにも関わらず、今年の生産予想を前回の3,900万トンから3,600万トンと下方修正を余儀なくされている。
鉄鋼業界では設備稼働率が90%を大幅に割り込めば、赤字になる可能性があり、世界の鉄鋼業界の平均設稼働率は70%まで低下、唯一中国が90%の設備稼働率を維持している。
ミッタル社では鉄鋼生産能力が720万トンにも関わらず、今年の生産を540万トンと予想しているために、ブラジル国内での投資計画の先送りやヨーロッパでの生産減少のために高炉の稼働停止を予定している。(2011年11月18日付けヴァロール紙)