今月23日、米国のドナルド・トランプ大統領は、国家の安全保障上の脅威になるとして、通商拡大法232条に基づいて鉄鋼・アルミニウム製品の輸入制限を発動した。
鉄鋼製品に25%、アルミ製品に10%の追加関税を課せられた中国政府は、米国の輸入制限に対して報復措置を発表して対決姿勢を示しており、トランプ政権の保護主義政策が「貿易戦争」に発展する可能性が否定できない。
米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は、上院財政委員会公聴会で、北米自由貿易協定(NAFTA)を再交渉中のカナダとメキシコに加えて、更にオーストラリア、EU、アルゼンチン、ブラジル、韓国の計7カ国・地域を当面、輸入制限の対象から除外すると発表している。
鉄鋼製品に25%の追加関税を課せられた中国製品を含めた年間2,500万トンの米国向け鉄鋼製品は、ブラジルを含めた他のマーケットに流出する可能性が高いとブラジル鉄鋼院(IABr)のマルコポーロ・メロ・ロペス会長は説明している。
今年1月に中国やロシア製輸入熱延鋼製品にはダンピングの疑いがあるとして、ブラジル鉄鋼メーカーのナショナル製鉄所(CSN)並びにアルセロール・ミッタル社、ゲルダウ社は、アンチダンピングに対する輸入関税の適用を連邦政府に要請していた。
中国はブラジルが輸入する鉄鋼製品並びにアルミ製品の40%以上のマーケットシェアを占めており、2017年の輸入鉄鋼製品は224万トン、そのうち中国製鉄鋼製品は41.3%に相当する96万1,000トンに達している。
また2017年アルミ製品輸入は15万4,657トン、そのうち中国からのアルミ製品輸入は46%に達しており、特に中国製のアルミ製ケーブル輸入は92%を占めて寡占している。
2018年2月のブラジルの粗鋼生産は、前年同月比5.5%増加の271万4,000トン、今年初め2カ月間の粗鋼生産は、前年同期比3.3%増加の558万トン、同期のブラジル国内消費は、12.6%増加の320万トンを記録している。
ブラジルの鉄鋼メーカーでも米国内での鉄鋼生産が40%を占めるゲルダウ社は、中国などの輸入鉄鋼製品に対する25%の輸入関税適用で恩恵を受けるとCoinvalores社アナリストのサブリーナ・ステファネ・カシアノ氏は説明している。
先週、トランプ米大統領は、中国からの輸入品600億ドル相当への追加関税や中国企業による米国内の投資を制限する制裁を発表。中国が長年にわたって米国の知的財産権を侵害してきたことへの報復措置と説明している。(2018年3月25日付けエスタード紙)