トランプ米大統領は3月初めに、鉄鋼とアルミニウムの輸入増加が安全保障上の脅威になっているとして輸入制限発動を表明、輸入鉄鋼製品に25%、アルミ製品に10%の高関税の課税発表、中国が主な標的とみられるが、中国や欧州などが報復措置に動き、世界的な貿易戦争に発展する可能性が指摘されている。
しかしトランプ大統領は、今週月曜日にカナダとメキシコについて、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉が妥結した場合にのみ適用除外とすると発表。欧州連合(EU)は、トランプ米大統領が鉄鋼・アルミニウムの輸入制限を発動する署名をすれば、28億ユーロ規模の米国製輸入製品に対する報復措置をすると発表。鉄鋼製品に加えて鉄鋼以外の工業製品や農産品など3分野で、25%程度の輸入関税を検討している。
カナダに次いでブラジルは年間467万トンの粗鋼を米国向けに輸出しており、米国に鉄鋼製品を輸出しているウジミナスやナショナル製鉄所(CSN)は、大きな影響を受けると予想されている。
ブラジルの製鉄会社は、米国から石炭を輸入して半完成品の鉄鋼製品を米国に輸出、米国内で最終製品の圧延鋼に加工して自動車並びに家電、建材などを生産している。
ブラジルは年間約500万トンの半完成品を米国へ輸出しているが、主な輸出先はカリフォルニア・スチール社並びにアラバマ州Calvert市のアルセロール・ミッタル社となっている。
米国が輸入鉄鋼製品に25%の輸入関税を課せればカリフォルニア・スチール社では1,000人の従業人が解雇される可能性があり、また年間100万トンのブラジル製粗鋼を輸入しているロスアンジェルス港では日本やメキシコ、韓国製の鉄鋼製品も輸入しているために、7,000人の港湾関係者の雇用が侵されると予想されている。
Trade Partnership社では、米国が輸入鉄鋼製品に25%の輸入関税を課せれば米国の鉄鋼業界の新規雇用は3万3,464人に繋がる一方で、その他の製造業部門では17万9,334人の失業に繋がると警告している。
またPererson Institute社では、2002年にGerge W Bush大統領が輸入鉄鋼製品に対して、輸入関税を引き上げたときの雇用創出は僅か3,500人であったが、米国の一般消費者は価格転嫁を余儀なくされていた。(2018年3月11日付けエスタード紙)