米商務省は、先月中旬にブラジルや韓国を含む20カ国以上に及ぶ輸入鉄鋼製品に対して、高率関税賦課や輸入量を制限する方案を発表、米国で鉄鋼製品を生産しているゲルダウ社は影響が少ないが、米国に鉄鋼製品を輸出しているウジミナスやナショナル製鉄所(CSN)は、大きな影響を受けると予想されている。
米国商務省は「貿易拡張法232条」報告書を公開、ブラジル・中国・コスタリカ・エジプト・インド・マレーシア・ロシア・南アフリカ・タイ・トルコ・ベトナム、韓国の12カ国の鉄鋼製品に53%の関税を賦課すると報告書に記載されている。
世界の潮流に反して,「保護貿易主義」を掲げているトランプ大統領は、米商務省に対して鉄鋼・アルミニウム製品の輸入に対する国家安保に関する調査を命じ、報告書を作成させている。
報告書には、全ての輸入鉄鋼製品に対して一律に24%の関税を賦課すると記載されており、保護貿易を主張しているドナルド・トランプ米大統領は、4月11日までにこの法案のうちの一つまたは一部を選択しなければならない。
米国への鉄鋼製品輸出トップは、1994年1月に発効したアメリカ、カナダ、メキシコ3国間の貿易協定である北米自由貿易協定(NAFTA North America Free Trade Agreement)加盟国のカナダで568万トンに達しているが、カナダ政府はすでに追加関税拒否を発表している。
カナダに次いでブラジルは467万トンを米国向けに輸出、韓国340万トン、メキシコ316万トン、ロシア287万トン、トルコ198万トン、日本173万トン、ドイツ138万トン、台湾113万トン、ベトナム68万トン、中国は74万トン、その他の国は705万トンとなっている。
2014年の中国の米国向け鉄鋼製品輸出は290万トンに達していたが、バラク・オバマ大統領の反ダンピング(不当廉売)関税適用で2017年は僅か74万トンまで減少しているにも関わらず、貿易摩擦を避けるために第3国経由での米国への輸出の可能性が疑われている。
米下院は、昨年12月末に連邦法人税率を35%から21%に引き下げる税制改革法案を賛成多数で可決、今後10年で1.5兆ドルという巨額減税を実施して、国内経済活性化を図る。
保護貿易主義を掲げるトランプ大統領は、不均衡貿易で米国の一般消費者はコストアップを余儀なくされており、また雇用創出に支障をきたしていると主張して、貿易条件是正を推し進めている。(2018年3月3日付けエスタード紙)