ブラジル鉄鋼院(IABr)並びにブラジル鉄鋼卸売業者協会(Inda)の統計によると、自動車の国内販売並びに輸出好調が牽引して、ブラジル国内の平板鋼需要が好調に推移している。
今年8月のブラジル国内の鉄鋼製品販売は、前年同月比9.6%増加の174万トン、国内製鉄所の鉄鋼製品販売は、前年同月比4.8%増加の1,555万トン、鉄鋼製品輸入は、73.6%増加の19万1,000トンを記録している。
8月の過去12カ月間の鉄鋼製品販売は、前年同期比3.4%増加の1,900万トン、ブラジル鉄鋼卸売業者協会(Inda)では、8月の国内卸売業者による鉄鋼品販売は、前年同月比19.2%増加の30万1,700トンと発表している。
また8月の鉄鋼製品輸入は前年同月比160.8%増加の11万6,400トンに達しているが、輸入鉄鋼製品在庫は僅か3か月分まで減少して2014年以降では最低の水準となっている。
また8月の薄板コイル生産は、前年同月比8.9%増加の87万8,000トンに達して、国内の鉄鋼メーカーでは自動車販売が牽引して回復傾向を示している。薄板コイル生産では、ウジミナス製鉄所並びにナショナル製鉄所(CSN)がリーダーとなっている。
ブラジル鉄鋼院(IABr)では、8月のブラジル国内の鉄鋼メーカーによる圧延鋼生産は前年同月比9.8%増加の92万8,000トン、自動車部門の圧延鋼消費は1/3を占めているが、建設部門向け棒鋼生産は未だに2.8%減少している。
ブラジル外国貿易局(SECEX)では、ナショナル製鉄所(CSN)並びにアルセロール・ミッタル社、ゲルダウ社の要請による中国やロシア製熱延鋼製品に対するアンチダンピングに対する輸入関税を検討している。
しかしペトロブラス石油公社関連のラヴァ・ジャット作戦汚職問題によるゼネコン企業の投資中止などの影響を受けて、機械・装置販売不振で設備投資生産業界が壊滅的な打撃を受けているとブラジル機械・装置工業会(Abimaq)では、輸入鉄鋼製品に対する輸入関税引き上げは、国内鉄鋼製品の値上げにつながると反対している。
鉄鋼製品の国際コモディティ価格が好調に推移しており、ウジミナス製鉄所並びにナショナル製鉄所(CSN)では、今年10月から10.2%の値上げを発表しているが、アルセロール・ミッタル社並びにゲルダウ社も追従すると見込まれている。
今年10月から熱間圧延鋼は10%~12%の値上げを予想、すでに12%値上げされていた冷間圧延鋼も更なる値上げをブラジル鉄鋼卸売業者協会(Inda)のカルロス・ロウレイロ会長は予想している。(2017年9月20日付けヴァロール紙)