中国の経済成長率鈍化やヨーロッパの債務危機、ブラジル国内の鉄鋼需要の減少などの要因で、今年のブラジル国内の鉄鋼生産は、前年比1.0%減少の3,480万トンに留まるとブラジル鉄鋼院(IABr)では予想している。
今年の3,480万トンの鉄鋼生産予想は、リーマンブラザーズ銀行破綻による世界金融危機の影響を受けた2008年以来で初めて減少に転じると予想、今年の設備稼働率は72.5%と2008年以前の80%前後から大幅に減少している。
ブラジル国内の鉄鋼需要減少によるアルセロール・ミッタル社の高炉操業停止や世界的に5億トンの鉄鋼の供給過剰などで生産回復の見込みが不透明となっているとIABr鉄鋼院のマルコポーロ・メロ・ロペス会長は説明している。
世界的な鉄鋼の供給過剰の影響で今年のブラジルの鉄鋼輸出は、前年比10.9%減少の970万トンに留まるとIABr鉄鋼院は予想、また今年初めの2016年までの設備投資は160億ドルを見込んでいたにも関わらず、大幅な下方修正並びに投資の先送りに迫られている。
ドイツ資本チッセンクルップは、操業を開始したリオ州東部サンタ・クルースのアトランチコ製鉄(CSA)の売却を余儀なくされているが、ヴァーレ社は今年12月にポートフォーリオ拡大するための3カ所の製鉄所建設を発表する可能性がある。
鉄鋼業界関係者は、連邦政府による鉄鋼業界の活性化政策の導入や輸入鉄鋼製品に対する関税の引き上げなどを要請する可能性を予想、しかし来年1月からの20%の電力料金の値下げは4.0%の生産コストダウンに結びつく。
また港湾戦争の終結につながると期待されている2013年1月から始まる段階的なICMS税の一律4.0%の実施も鉄鋼業界にとって追い風になると予想されている。(2012年11月28日付けエスタード紙)