9月15日、MACHADO MEYER弁護士事務所はテーメル政権下で企業家が今最も期待している時期に「労働法の近代化に向けた法改正は有り得るのか」と題し、同事務所の労働分野に詳しい錚々たる弁護士5人がパネラーになり討論会を開催、約70人が参加した。
大統領は労働者の特権を低下させる措置では無いと発言を急いでいるが、果たしてどの様に行うのか、政治が混乱している中で可能なのか、誰が国会を期待通り確実に動かして行けるのか、憲法に抵触せず法令のどの部分を改正するのかが焦点になっている。
個々のパネラーが昨今の政治情勢を分析、各々が見解を述べた後にモデレイターが討論会の半分の時間を質疑応答に割き、誘導しながら20人程の参加者から突っ込んだ質問が投げ掛けられた。過去、労働組合は権利獲得のため国会にプレッシャーを掛けて来たが、労働法の改革にあたっては企業団体にも今まで以上にその必要性があるのではと云うパネラーの見解に対し、平田事務局長は3番目に挙手、以下コメントした。
『来年はブラジルに移り来て50年を迎える。この会場に参加している大半の若い弁護士たちよりも現在までブラジルの変遷を肌で感じ又経営者としての立場からも、この国の政治経済情勢をつぶさに見て来た。私はブラジル人生の経験年数の上では皆さん以上にブラジル人(ガウショ)だと自負している。
色々なセミナーや政府機関が行う意見交換会で機会ある度に、硬直的な労働法や複雑な税制のなどの簡素化を求め意見具申して来た。ブラジルの諸制度はブラジルだけにしか通用しない独特な制度が多く、例えば移転価格税制など国際標準から掛け離れ、投資の阻害要因になっている。数多くのブラジルの識者達も良く比喩に使うがジャブチカバ(会場爆笑)であり、且つ時代錯誤そのものだと言いたい!
過去の経験を通じ、現在も経営者を苦しめているのに法的な不安定性も改革の一つに挙げたい。当該案件は人によっては如何様にも解釈が出来る曖昧な法体系が多く、何年か経った後にある日突然、どれだけ追徴を受けるか分らない不確定要素が経営負担になっていると指摘した。
労働訴訟案件に至っては国全体で年間300万件以上にも及ぶのが実態だ!(モデレイターからは日本の場合、確か約3000件(?)に違いないですけどと、その桁違いの大きさに同意・同調)これも海外からの投資の大きな足枷になっている!ブラジルの将来はこの厳しい未曾有な状況下で政府がタイムリーにどのように対応するかに掛っている。』と強調した。
プレゼン資料 「労働法は果たして改正されるか(Modernização na Legislação Trabalhista: Será que sai?)」
(写真提供: MACHADO MEYER 法律事務所)
会場の模様
弁護士5人がパネラーになり討論会を開催
質疑応答セッションに参加する平田事務局長