政策対話委員会の通関WGは、2016年2月3日にブラジリアの国税庁(RFB)を訪れ、AGIR活動の概要説明とワーキンググループでまとめた提言書についての意見交換会を行なった。会議所からは、通関WGの石嶋勇グループ長(ブラジルヤクルト商工)、成田正臣副グループ長代理(ブラジル日通)、平田藤義事務局長、天谷浩之アドバイザー、吉田章則調査員、ブラジル財務省からは、José Carlos de Araújo連邦州税局税関担当管理調整官、Antonio Rodrigues Coelho連邦州税局国際関係担当が参加、また日本大使館から伊藤哲郎一等書記官、伊藤諭二等書記官が出席した。
初めに石嶋グループ長は、ブラジル日本商工会議所では政策対話委員会のしたに通関WGを設立、貿易促進の障壁となっている課題をまとめてきたと説明した。貿易に携わる日本企業が集まった通関WGでは、通関に関する課題をリストアップし、両国にとってWIN-WINとなる改善提案書を作成、クレーム活動ではなく、ブラジル政府と対話を重ねることによって、更に日系企業がブラジルに進出できるようビジネス環境を改善していくための活動であると説明した。そして本日ブラジル国税庁(RFB)と対話が実現したことに感謝を述べた。
Jose Carlos氏は、このような会合が実現できたことを歓迎し、特に日本はブラジルとの貿易において重要な国の一つでもあり、AGIR活動を通じた情報交換を通して、この国の納税者が抱えている課題を一緒に解決していくよう議論を重ねていくことが大切であると語った。通関手続きは、RFBのみならず、開発商工省、農務省、保健省、環境省その他の機関との調整も必要になる為に、ブラジル政府は電子ファイルを一度送るだけで手続きができるPortal Único制度を導入し、政府が一体となって簡易化への挑戦を行なっていると説明した。またAGIRの提言書にあるOEA制度に関しても、日伯間でOEA制度の相互承認ができることへの期待も示した。
通関WGでは、昨年2月にRFBのOEA担当官を招きOEAの輸出バージョンのセミナーをCNIと共に開催、今年は3月にもOEA輸入バージョンセミナーを開催する予定であり、OEA認定企業数の拡大に向けて会員企業への利用促進の働きかけに協力していくことを伝えた。また、平田事務局長は、2019年には50%の通関手続きがOEAを通じてできる目標があり、お互い協力して是非実現したいと語った。
また、Jose Carlos氏は、レッドやイエローなどのカラーライン荷物における迅速化に関しても、リスクマネジメントセンターを設立して、カラーライン荷物を15年前の約30%から2015年には9%まで減少することができたが、世界水準の5%までは到達していないので、常に迅速かつ安全な通関を目指していくと語った。また広いブラジル国土で様々な通関拠点があるなかでの標準化・基準化の課題について触れ、通関手続きマニュアルを税関職員に徹底する努力を行なっているが、古い慣習からなかなかマニュアル化に対応しきれない難しさもあると述べた。そして、問題解決には官民合同の対話が必要であり、通関WGでまとめた提言書に感謝を述べ、管内でも情報共有をして、今後も一緒にAGIR活動に協力、通関WGとの関係を深めていくことで合意した。
最後に平田事務局長は、以前にも移転価格税制の課題において、ブラジル日本商工会議所とRFBとが議論を重ねて改善を成し遂げた例を挙げ、これからもRFBと一緒にブラジルのビジネス環境改善へ努力していくことを約束した。
RFBと通関WGとの政策対話の様子
説明を行なうJosé Carlos de Araújo連邦州税局税関担当管理調整官
左から平田事務局長、石嶋グループ長左から成田副グループ長代理、平田事務局長、Jose Carlos氏、石嶋グループ長左から伊藤諭書記官、成田副グループ長代理、平田事務局長、天谷アドバイザー、Jose Carlos氏、石嶋グループ長、伊藤哲郎書記官、Antonio氏