日伯法律委員会(松下理一委員長)並びにMattos Filho法律事務所、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の角田太郎弁護士がゲストスピーカーとして参加した「ブラジル腐敗防止法連邦施行規則の制定~コンプライアンス・プログラム評価基準に関するアップデートを中心に」セミナーは、2015年5月6日午後午後3時30分から5時30分までMattos Filho法律事務所に60人が参加して開催した。
講師はアンダーソン・毛利・友常法律事務所の角田太郎弁護士並びにMattos Filho法律事務所のレナート・タスタルジ・ポルテーラ共営者でブラジル腐敗防止法の概要として、法人を処罰するものとしてブラジル腐敗防止法が2014年1月29日に施行、ブラジルのトランスペアレンシー・インターナショナル「腐敗認識指数2014」で175か国中69位、問題となりやすいこととして公共入札並びに政府契約、許認可の取得など政府との接点の多い事業を行っている場合はリスクが高 く、業種にかかわらず、労務・税務・通関に関する業務は伝統的に汚職・腐敗行為が発生しやすく、ブラジルでは専門のエージェント・コンサルタントが起用されることが多 く、これらの第三者を通じた汚職・腐敗行為が懸念され、政府との接点が多い業務をこれらの第三者に委託している場合は非常に危険である。
賄賂を要求された場合として、会社は絶対に公務員に賄賂を支払ってはならず、会社の担当者は決して1人で公務員に会いに行くべきではなく、従業員に 対しては、行為規範・倫理規定に則り対応するよう周知徹底する必要であり、不正行為が疑われる場合には、会社は事実調査を実施して疑念がある場合に詳 細かつ慎重に不正行為の証拠を保全するため追跡調査を行い、通報が内部報告による場合は内部者が報復にさらされることのないよう保護する必要があり、不正 の事実が確認された場合に会社は政府に対して、リーニエンシー契約を申し出ることができるが、経験ある法律事務所の助言を受けることを推奨すると説明し た。
腐敗防止法におけるコンプライアンスとして、監査及び不正行為の開示に対するインセン ティブを確保するための内部制度及び手続の存在並びに当該法人における倫理規定及び行為規範の実効的な運用、当該制度及び手続の評価基準は、連邦行政府規 則により制定される予定となっていると説明した。
連邦規則が制定されるまでの一時的なコンプライアンス・プログラムとして、廉潔性と監視制度・手続; 内部統制; 従業員や他のスタッフに適用される行為・倫理規範; 匿名性が確保される報告手段; 報告に基づく調査; 公的部門に関連する透明性を確保する手段; 及び 定期的なトレーニング、また連邦監査事務局(CGU)は連邦政府におけるリーニエンシー契約を締結に関する責任官庁となっている。
連邦規則8420号のコンプライアンス・プログラムは、経営幹部の関与並びに行為規範と倫理規定、廉潔性プログラムに関する定期的なトレーニン グ、定期的なリスク評価、相談・報告手段の存在、内部統制システムの制定と維持、違反があった場合の懲戒処分の実施、行政処分における責任、罰金の計算方法、リーニエンシー契約内容、連邦規制の対応策などについて説明した。
ブラジル腐敗防止法連邦施行規則の制定~コンプライアンス・プログラム評価基準に関するアップデートセミナー アンダーソン・毛利・友常法律事務所の角田太郎弁護士並びにMattos Filho法律事務所のレナート・タスタルジ・ポルテーラ共営者
左から講演者のレナート・タスタルジ・ポルテーラ共営者/角田太郎弁護士
左からマルセル・アルベルジ・リーバス弁護士/ロドリゴ・フェレイラ・フィゲレイド弁護士
Rubens Ito / CCIJB