ブラジル最大の輸出企業で世界2位の鉱業会社ヴァーレ社は環境ライセンス認可の遅れ、鉱山開発向け大型機械不足や良質なマンパワー不足などの要因で、投資計画の変更を余儀なくされており、来年はすでに環境ライセンス認可が下りているプロジェクトだけに投資する。
同社の来年の投資計画は11.0%減少の214億ドルに下方修正、投資額の71.5%はブラジル国内の増産投資に向けられ、2006年に世界第2位のニッケル生産企業であるカナダ資本インコ社を180億ドルで買収したような、大型のM&Aは実施されないと予想されている。
ヨーロッパの財政危機、米国の景気減少や中国の経済成長率の鈍化傾向で、世界の鉄鋼需要を牽引しているアジア向け鉄鉱石輸出の先行きが不透明となってきており、中国向け鉄鉱石搭載の貨物船をイタリア向けに変更を余儀なくされた経緯がある。
今年初めにヴァーレはミナス州セーラ・アズール鉱山並びにパラー州カラジャス鉱山開発に着手して、2014年下半期から操業開始を予定、しかし操業開始は2016年下半期に先送りされる。
このセーラ・アズール鉱山開発投資総額は80億ドルを投資して年間9,000万トンを生産、環境ライセンス認可は2013年上半期にずれ込む見込みであり、2012年は7億9,400万ドルに留まると予想されている。
ブラジルの今後数年間で最も大きな投資 はセアラー州で韓国資本Posco社並びにDongkuk社とのジョイントベンチャーによる製鉄所建設であり、ヴァーレは来年に5億6,300万ドルを投資して、2015年からの操業が予定されている。
ヴァーレ社のムリロ・フェレイラ社長はブラジルの鉄鋼生産会社は川上から川下まで事業領域を拡大して、自社で鉄鉱石供給体制を築いてきている影響で、ブラジル国内のマーケットシェアを失ってきていることを憂慮している。
ヴァーレ社の2005年のブラジル国内の鉄鉱石のマーケットシェアは70%、今日では50%に減少、2014年には29%まで減少すると予想されており、鉄鉱石価格決定権を失ってきている。
同社では鉱山開発以外に鉄道の建設や港湾ターミナル整備に投資、来年はマラニャン州ポンタ・デ・マデイラ港でターミナル建設に8億9,000万ドルを投資する。
またパラー州マラバ市の銅鉱石開発のSaloboIIプロジェクトには、5億8,100万ドルを投資して2013年下半期の操業を予定、来年のカナダ向け投資は総額の11.7%、アフリカ向けは9.1%が予定されている。
来年の同社の鉄鉱石開発投資は総額の46.7%を予定、3億1,200万トンを生産、パレット生産は5,000万トンを予定、同社では石炭を1,660万トン、銅34万トン、ニッケル30万トン、カリウム60万トン並びにリン酸鉱を800万トン生産している。(2011年11月29日付けエスタード紙)