ヴァーレ社マーケティング部門のジョゼ・カルロス・マルチンス取締役は中国を中心に農村部から都市部への人口の移動が牽引して、今後の鉄鋼需要は拡大の一途を継続すると予想している。
今後10年間の世界の鉄鉱石需要は16億トンから22億トンに増加するために、鉄鉱石を中心とした鉱物の国際コモディティ価格は上昇を継続すると見込んでいる。
マルチンス取締役は今後5年間に世界の鉱業部門の投資は1兆ドル、そのうち鉄鉱石開発投資は2,000億ドル、最大の投資は鉄鉱石生産が世界トップのヴァーレ社と見込んでいる。
中国の人口の大半は農村部に住んでいるが、経済の発展と共に都市部への移動が増加してきており、建設ブームが今後も継続するために建材の鉄鋼需要が増加、また中国の貯蓄率はGDP比40%と高率であることも建設ブームを後押ししている。
また同取締役は中国やアジアを中心とした新興国の経済発展に伴って、鉄鉱石の供給が需要に追い付かなくなる可能性も否定できないために、生産コストに関係なく価格が乖離してしまう現象であるフライアップになることも否定していない。
ルーラ大統領はヴァーレ社のロジェール・アグネリ社長に鉄鉱石輸出から付加価値の高い鉄鋼製品輸出のために、同社の製鉄所建設のための投資を奨励していたが、色々な問題が発生したために、関係悪化して解任された経緯があった。
しかし連邦政府が推薦したムリロ・フェレイラ新社長は経営方針を変更して、パラー州並びにエスピリット・サント州で同社単独で製鉄所建設、また韓国資本のポスコ並びに東国製鋼とセアラー州で製鉄所を建設する。(2011年6月15日付けエスタード紙)