2週間後にヴァーレ社の社長を退くロジェール・アグネリ社長の最後となる今年の第1四半期の純益は292%増加の112億9,100万レアル、ドル換算の会計決算では325%増加の68億2,600万ドルで同四半期の記録を更新した。
アグネリ社長はマラニャン州のエストレイト水力発電所建設、韓国企業への40万トン級の「ヴァーレ・ブラジル」と呼ばれる鉄鉱石運搬用船舶の発注などを最後に、ヴァーレ社の経営をムリロ・フェレイラ新社長に引き渡す。
また昨年の業績が好調で今年1月には株主に対して臨時配当金16億7,000万レアル、4月には今年初めての配当金31億7400万レアルを分配している。
また同四半期のヴァーレが世界中で手掛けている鉄鉱石、ペレット、マンガン、石炭、ニッケル、銅やコバルトの生産は増加して、売上や純益増加に結びついている。
第1四半期の鉄鉱石関連の売上は93億6,500万ドル、鉄鉱石輸出はアジア向けが牽引しているが、売上比率は昨年最終四半期の54%から49.1%に低下、中国向け輸出比率は34.6%から29.5%に低下、日本向けは10.7%、ドイツ6.7%、米国4.6%、イタリアは3.3%であった。
第1四半期の1トン当たりの平均鉄鉱石価格は前四半期比3.99%増加の126.19ドル、前年同四半期比では94.85%を約倍増、パレット価格は1%増加の181.33ドル、83.16%増加していた。
アグネリ社長とルーラ大統領は世界金融危機以前には良好化関係を保っていたが、金融危機で世界的に鉄鋼需要が下落した影響で1,300人の従業員のレイオフ、製鉄所の建設投資の先送りや大型船舶の海外企業への発注などで関係がこじれていた。
ブラジル国内への船舶発注では納期が2015年で投資計画変更を余儀なくされ、また最低価格は2億3,600万ドルと韓国企業の1億1,000万ドルと2倍以上のコスト高、なおかつ韓国や中国企業に発注した19隻の納期が2013年と短いために、投資計画を遂行するためには海外への発注を余儀なくされていた。(2011年5月6日付けヴァロール紙)