昨日、資源大手ヴァーレ社は償還期間が10年物の社債発行で10億ドルを調達、年利は6.25%と前回の社債発行時の5.875%を大幅に上回ったために30億ドルの購入需要があった。
今回の償還期間が2026年の社債発行は、鉄鉱石の国際コモディティ価格が低調に推移しているために、償還期間が迫っている社債の償還を伸ばす目的で発行、スプレッドは470.3ポイントとなっている。
ヴァーレ社では今年初めての社債発行として、6月7日に償還期間が2021年の5年物の社債12億5,000万ドルを発行、年利は5.875%であったが、今回の社債発行は北半球が夏季休暇に入る前に発行している。
現在のブラジルの社債や国債、貸付債権などの信用リスクに対して、保険の役割を果たすデリバティブ契約のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は、今年初めには政治経済の混乱の影響で500ポイントに達していた。
しかしジウマ大統領の停職によるミッシェル・テーメル暫定政権誕生後のCDSは、300ポイントを割って資金調達コストが大幅に減少、現在は295ポイントまで低下している。
鉄鉱石の国際コモディティ価格停滞や中国経済停滞による需要減少、為替変動などの要因で累積負債が上昇しており、負債軽減並びにコア事業への資本投入のために150億ドルに相当する自社資産の売却を今後も進めるとヴァーレ社のムリロ・フェレイラ社長は強調している。
昨日の社債発行による10億ドルの資金調達達成のニュースで、ヴァーレ社の普通株価は4.61%上昇、優先株価も5.53%上昇、ヴァーレ社の負債総額は275億ドルに達しており、負債軽減のために鉄鉱石の長期契約販売で100億ドルの資金調達を検討している。
ヴァーレ社では、大型顧客の中国企業との間で今後30年間にわたって鉄鉱石販売の長期契約締結を検討、今年の鉄鉱石の生産は昨年の3億4,600万トンを僅かに下回る3億4,000万トンを予定している。(2016年8月4日付けエスタード紙)