昨日28日、中国モリブデン社(CMOC)は、アングロ・アメリカン社のニオブ・リン酸事業を15億ドルで買収、同社が所有するニオブ鉱山並びにリン酸鉱山はブラジル国内に集中しているために、新たな中国企業によるブラジル国内の非鉄金属並びに肥料分野の投資拡大並びにマーケット活性化につながると予想されている。
アングロ・アメリカン社のブラジル国内のニオブ・リン酸鉱山の資産は13億ドル相当と見込まれているにも関わらず、中国モリブデン(CMOC)にとっては、高級鋼材・特殊鋼材を生産するために必要不可欠な原料の長期的な確保につながる。
一方でアングロ・アメリカン社は、今年末までに負債総額を100億ドルまで削減する必要に迫られており、またコア事業に資本を集中するためポートフォーリオ事業の売却を積極的に進めている。
中国モリブデン(CMOC)は、アングロ・アメリカン社ブラジル国内のリン酸鉱山買収で10%の国内マーケットシェア獲得につながり、またブラジル国内のニオブ鉱山買収で世界2位のニオブ生産会社となる。
ニオブ生産の世界のトップメーカーはブラジル資本のカンパニア・ブラジレイラ・メタルジア・イ・ミネラソン社 (CBMM)、同社のニオブ鉱山はすべてがゴイアス州に集中しており、昨年のニオブ生産は6300トンに達している。
また中国モリブデン(CMOC)がアングロ・アメリカン社ブラジル国内のリン酸鉱山を買収、同社のリン酸鉱山はゴイアス州並びにサンパウロ州に集中しており、リン酸(P)は窒素(N)並びにカリ(K)の「肥料の三要素」と呼ばれる一つであり、ブラジルは肥料消費の70%以上を輸入に依存しているために、国内での肥料生産が急務となっている。
中国系鉄鋼生産メーカーが参加しているシティーグループ主導のコンソーシアムとして、2011年に高級鋼材・特殊鋼材生産では、不可欠なニオブの生産企業であるブラジル資本CBMM社の15%の株式を19億5,000万ドルで取得、新興国を中心に高級鋼材の需要が伸びるており、ニオブの世界生産量のトップシェアを占める CBMM 社に出資することで、ニオブの安定調達体制を確立している。
海外からの新規参入企業はブラジルの法規制に従う義務があり、また発表するデーターは透明でなければならないとブラジル肥料生産者協会(AMA)のカルロス・エドアルド・フロレンセ理事は強調している。
ニオブは高級鋼材・特殊鋼材を生産するために必要不可欠な原料で微量添加により鉄鋼製品の強度・靭性・耐熱性を飛躍的に向上させる特性があり、ニオブを添加した高級鋼材・特殊鋼材・スーパーアロイは、石油・天然ガスパイプライン・自動車・大規模建築・タービンなどに使用されている。(2016年4月29日付けヴァロール紙)