鉄鉱石輸出では世界最大ヴァーレ社の2015年の純益は、前年の9億5,400万レアルの黒字から一転して442億1,000万レアルの赤字を計上、1997年に民営化されて以来初めて赤字を計上している。
2015年のヴァーレ社が赤字を計上した要因として、2015年の1トン当たりの鉄鉱石の国際コモディティ価格が40ドルを割り込み、またレアル通貨に対する50%以上のドル高の為替の影響で、負債の大半がドル建てのヴァーレ社にとっては収益下落並びに負債増加につながった。
ヴァーレ社はドル建ての負債軽減のため傘下の電力エネルギー関連会社や自社所有の船舶の放出以外にも鉄鉱石鉱山並びにニッケル鉱山、銅鉱山、石炭鉱山、肥料関連企業の放出を余儀なくされている。
ヴァーレ社ではパラー州カラジャス鉱山S11Dプロジェクトを推進するための資金調達並びに250億ドルに達する負債を18か月間以内に150億ドルまで圧縮するために、コア事業を含めて自社資産売却を果敢に推進する。
ヴァーレ社では今年の1トン当たりの鉄鉱石の国際コモディティ価格を45ドルと見込んでいるが、昨年は同社の予想を大幅に下回る1トン当たりの鉄鉱石の国際コモディティ価格が40ドルを割って需給バランスが崩れ、そのうえ中国の経済成長停滞で競合するBHP Billiton並びに Rio Tinto社も赤字を余儀なくされていた。
2015年のヴァーレ社の鉄鉱石並びにパレット販売は前年の3億1,363万トンから3億3,495万トンに増加したにも関わらず、営業純益は鉄鉱石価格の下落に伴って前年の882億7,000万レアルから855億レアルに減少している。
2015年11月初めにヴァーレ社とBHPビリトン社の合弁会社サマルコ社の鉱山廃水用ダムの決壊事故の発生で、両社は賠償保障を余儀なくれていることもヴァーレ社の自社資産売却に拍車をかけている。(2016年2月26日付けエスタード紙)