中国の内需減少による経済成長率の停滞や欧米の景気後退要因で、天然資源関連国際コモディティ価格が軒並み下落した影響で、資源供給国にとって貿易収支の悪化に結び付いている。
銅鉱石生産トップのチリ並びに2位の中国は世界的な需要減少で生産調整を余儀なくされており、1トン当たりの銅鉱石の国際コモディティ価格は4,443.5ドルと2003年以降では最低の価格まで減少している。
今年初めから鉄鉱石や石油など22種類の天然資源の国際コモディティ価格は、中国の需要減少並びに新興国通貨に対するドル高の為替、米国金利の引上げ予想などの要因で23%以上下落している。
鉄鉱石は石油や銅と違って先物市場がなく最大の購入者である中国の需要家と資源メジャー各社が交渉して決定された価格がグローバル指標となり、中国の需給関係が鉄鉱石の国際コモディティ価格を左右している。
鉄鉱石の生産はヴァーレ(ブラジル)、BHPビリトン(豪州)、リオティント(豪州)の3社で60%のシェアを確保、現状としてこの3社が鉄鉱石価格の下落を覚悟のうえで増産を続けるのは、シェアを拡大して生産性の低い業界下位を駆逐して寡占化を進めることで、将来的に鉄鉱石の価格支配力を強めようという狙いがある。
また中国・オーストラリア・ペルーの亜鉛生産の上位3カ国で世界全体の約54%を占め、中国の亜鉛生産企業10社は2009年以降で最も価格が低迷しているために生産減少を発表している。
世界の銅消費の40%を占める中国の需要がケーブルや電線などの消費減少に伴って低下、世界の銅生産の10%を占めるチリ資本のCodelco社のチリ国内の生産、Glencore社のザンビア並びにコンゴ共和国での生産調整を余儀なくされている。
昨日のロンドンの北海ブレント原油は0.4%増加の1バレル当たり44.83ドル、しかし米国やサウジアラビアは昨年中頃からの増産継続でニューヨーク原油先物市場のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は0.36%減少の41.75ドルとなっている。
また石油輸出国機構(OPEC)は来年1月4日に会合を予定しており、石油の国際コモディティ価格低迷にも関わらず、生産減少は行わないと予想されており、Tradition Energy社アナリストのGene McGillian氏は、石油価格は今後6年間に亘って40ドル以下で推移すると予想している。(2015年11月24日付けヴァロール紙)