資源大手ヴァーレ社の第3四半期の鉄鉱石生産は、前年同期比2.9%増加の8820万トンで記録を更新したにも関わらず、鉄鉱石の国際コモディティ価格の下落を補填するには至っていない。
中国の経済成長減速や欧米の鉄鉱石需要下落で1トン当たりの鉄鉱石の国際コモディティ価格が大幅に下落を継続しているにも関わらず、鉄鉱石の資源大手企業は、世界でのマーケットシェアを拡大して中小規模の鉄鉱石生産企業をマーケットから締め出すために増産を続けている。
資源大手ヴァーレ社、オーストラリアのリオ・チント社、BHP Billiton社、Fortescue Metals社は増産による鉄鉱石供給が需要を大幅に上回って国際コモディティ価格の下落に拍車をかけている一方で、含有量の高い鉄鉱石生産や生産コスト削減で鉄鉱石生産企業の淘汰を進めている。
中国の第3四半期のGDP伸び率は6.9%に留まって世界金融危機直後の2009年以降では初めてGDP伸び率が7.0%を下回って、経済成長の鈍化が明確になってきている影響で、昨日の1トン当たりの鉄鉱石の国際コモディティ価格は0.2%減少の52.5ドル迄下落した。
中国の第3四半期のGDP伸び率6.9%の発表に伴う鉄鉱石価格の減少で、昨日のヴァーレ社の普通株価は3.37%下落、優先株価は3.55%下落したにも関わらず、サンパウロ平均株価(Ibovespa)は0.45%上昇していた。
ヴァーレ社の今年9か月間の鉄鉱石生産は、今年の生産目標である3億4,000万トンの75.7%に相当する2億5,750万トンを記録、そのうち含有量が非常に高く生産コストが安いパラー州カラジャス鉱山の鉄鉱石生産は3,390万トンに達している。
ヴァーレ社では鉄鉱石の含有量が低くて生産性が悪いミナス州フィレジョン鉱山並びにジャンガーダ鉱山、ピコ鉱山の鉄鉱石生産を1,300万トン減産する一方で生産性の高い鉄鉱石鉱山での増産に軸足を移す。
含有量が非常に高くて生産コストが低いパラー州カラジャス鉱山の1トン当たりの鉄鉱石の港湾引渡しコストは10.7ドルとリオ・チント社の14.4ドルを大幅に下回っている。
中国経済停滞が牽引して世界の非鉄金属需要の減少に伴って、ヴァーレ社の第3四半期のニッケル生産は前年同期比0.7%減少の7万1,600トン、銅は5.3%減少の9万9,300トンとなっている。(2015年10月19日付けエスタード紙)