資源大手ヴァーレ社は、運転資金調達のために海外資産を中心に自社資産放出を継続しており、今年は44億ドルの資産放出につながったと同社のムリロ・フェレイラ社長は説明している。
連邦警察の特別捜査「第7次ラヴァ・ジャット作戦」の汚職捜査の継続でペトロブラス石油公社のグラッサ・フォスター総裁の辞任要求の風当たりが増してきており、ジウマ大統領からヴァーレ社のムリロ・フェレイラ社長に次期総裁への就任要請が噂されているにも関わらず、同氏はその噂をきっぱりと否定している。
またアエシオ・ネーベス大統領候補との決選投票で勝利したジウマ大統領からギド・マンテガ財務相の後任の候補としてムリロ・フェレイラ社長が指名される可能性があったと政界では噂されていた。
2001年にヴァーレ社の社長に就任後、ムリロ・フェレイラ社長は、パラー州カラジャス鉱山のメガプロジェクトで投資総額が170億ドルに達するセーラ・アズール鉱山開発への資金調達をするために、海外資産を中心にポートフォーリオを縮小している。
またヴァーレ社が自社資本売却に拍車をかけることを余儀なくされている要因の一つとして、2013年末の1トン当たりの鉄鉱石の国際コモディティ価格は135ドルであったにも関わらず、今では68ドルと過去5年間で最低の価格まで下落している。
ヴァーレ社のムリロ・フェレイラ社長は、鉄鉱石の国際コモディティ価格は今後2年間に亘って低迷すると予想して今後2年間も自社資産の売却を継続すると見込まれており、2013年のヴァーレ社の自社資本の売却総額は60億ドル、2014年は44億ドルとなっている。
今年の主な自社資産売却としてモザンビークの石炭鉱山並びにナカラ回廊のロジスティックシステムの日本の商社への売却による37億ドルの資金調達となっている。
またValemaxの鉄鉱石運搬船の売却による6億ドルの資金調達、パルプ製造メーカースザノ社に9,000万ドルでグループ企業のValeFlorestar社を売却、Fosbrasil社の44.25%の株式を4,200万ドルでスザノ社へ譲渡している。
過去3年間のヴァーレ社の自社資産売却総額は120億ドルに達するが、今後はValemax社が所有する15隻の鉄鉱石運搬船売却で15億ドルから20億ドルの資金調達が予想されている。
2015年にはボーキサイト生産のMRN社の売却やグループ傘下の肥料生産会社へのジョイントベンチャー企業の参加による負債軽減や非鉄金属部門の切り離しによる新規株式公開(IPO)で、280億ドルから350億ドルに資金調達を検討している。(2014年12月17日付けエスタード紙)