中国の経済成長減速や欧米の鉄鉱石需要下落で1トン当たりの鉄鉱石の国際コモディティ―価格が70ドルを割っているにも関わらず、鉄鉱石の資源大手企業は生産を拡大している。
鉄鉱石生産大手のブラジルのヴァーレ社並びにオーストラリアのリオ・チント社、BHP Billiton社は中国の鉄鉱石需要減少で鉄鉱石の国際コモディティ―価格が下落しているにも関わらず、世界でのマーケットシェアを拡大して中小規模の鉄鉱石生産企業をマーケットから締め出すために増産を続けている。
中国の中小規模の鉄鉱石生産会社は生産コストが高いために価格競争力を失ってマーケットから撤退しているが、鉄鉱石価格が高騰を続けていた時に鉄鉱石のマーケットに参入したメキシコ並びにロシア、インドネシア、イランの鉄鉱石生産会社は生産コスト高の影響で今後は相次いで撤退を余儀なくされると予想されている。
ヴァーレ社のルシアーノ・シアニ財務担当取締役は今年の鉄鉱石生産は需要減少にも関わらず、オーストラリア並びにブラジルの生産拡大の影響で前年比4800万トンから8,300万トンの増加を予想している。
2015年のオーストラリアのリオ・チント社、BHP Billiton社、Fortescue Metals社による鉄鉱石増産は今年を7,000万トン上回ると予想、コンサルタント会社CRU社では今後5年間の鉄鉱石は1億7,000万トンの増加を予想している。
ヴァーレ社のパラー州のS11Dプロジェクトによる鉄鉱石増産は9,000万トン、ミナス-リオプロジェクトは2,650万トン、オーストラリアのRoy Hillプロジェクトは5,500万トンの増産が予想されている。
ヴァーレ社では2015年の鉄鉱石需要は今年を僅かに1.5%~2.0%増加を予想、ゴールドマンサックスでは中長期の1トン当たりの鉄鉱石価格は80ドル~90ドルを予想しているが、2011年2月には192ドルを記録していた。
世界の鉄鉱石の埋蔵量比較ではオーストラリアが170億トンでトップ、ブラジルは160億トン、ロシアは140億トン、中国は72億トン、インドは45億トン、ヴェネズエラは24億トン、カナダ並びにウクライナはそれぞれ23億トン、スエーデンは22億トン、米国は21億トンとなっている。(2014年11月24日付けヴァロール紙)