ヴァーレ社の社長を長年務めて同社の売り上げを飛躍的に拡大させた凄腕のロジェール・アグネリ元社長は、昨年5月に連邦政府から追い出される形で退社、ヴァーレでの経験やノウハウなどを活かすためにパートナーを探していた。
アグネリ氏は銀行家アンドレ・エステヴェス氏が率いるBTGパクツアル銀行と共同でブラジル並びにラテンアメリカ、アフリカなどで鉄鉱石や非鉄金属、肥料などの生産を行う。
BTGパクツアル銀行は5億ドルを投資して同氏のプロジェクトに共同参加、チリでの銅鉱石開発、ブラジル北部地域並びに北東地域でのチタン鉱、肥料の原料となるリン酸鉱並びにカリウム鉱の開発を予定している。
またBTGパクツアル銀行は、アグネリ氏が抱えるアンゴラでの銅鉱石並びに鉄鉱石開発プロジェクトにも参加を予定、このプロジェクトにはアングラの企業グループが参加する。
今年初めにアグネリ氏は、AGNホールディングを立ち上げて港湾ロジスティックの建設、電力エネルギー向けのバイオマス生産をターゲットにした事業も予定している。
同氏はAGNホールディングを立ち上げるために、ヴァーレ社から鉄鉱石生産事業のためにエドアルド・レドシャム氏、再生可能エネルギーのためにイヴォ・フォウト氏を引き抜き、CSN製鉄からロジスティック事業のためにダヴィ・カデ氏を引き抜いていた。
ヴァーレ社は1997年に民営化されているにも関わらず、連邦政府は社会経済開発銀行(BNDES)並びにブラジル銀行年金ファンド(Previ)を通してヴァーレに出資、しかしアグネリ社長を交代させるには大株主のブラデスコ銀行の支持が必要となっていた。
アグネリ社長はルーラ大統領と非常に良い関係を保っていたが、2008年の世界金融危機でヴァーレ社では従業員の削減並びに投資の中止を実施したために、ルーラ大統領から非難されて政府との関係がこじれていた経緯があった。(2012年7月12日付けエスタード紙)