中国企業は、2009年から電力エネルギー部門を中心にブラジル国内の基幹産業部門に対して、ハイリスク・ハイリターンにも関わらず、積極的に企業買収などで投資を継続している。
2009年以降の中国企業によるブラジル国内への投資は、総額539億6,000万ドルに達している。そのうち投資総額の47%は電力エネルギー部門への投資、石油・天然ガス開発部門への投資は29%、鉱業部門8.0%、自動車部門4.0%、農畜産部門4.0%、金融サービス部門は3.0%、その他は5.0%となっている。
中国企業による電力エネルギー部門への投資は、ミッシェル・テーメル政権時に顕著に増加、中国企業は不況に直面しているブラジルに大きな商機があると受け止め、主にブラジル国内の基幹産業部門の事業拡大に乗り出している。
しかしリスクに対して支出を恐れず貪欲な、2017年の中国企業によるブラジル国内の資産買収は前年比68%増の200億ドル以上に達するとブラジル中国商工会議所(CCIBC)は推算している。
State Grid Corp of China社はCPFL Energia社を520億レアル、国家電力投資集団公司(SPIC)は70億レアルを電力エネルギー企業の買収に投資、民間最大の電力エネルギー企業となっているChina Three Gorges(CTG)社は、440億レアルを電力エネルギー部門に投資している。
今月9日夜、ボウソナロ候補によるブラジル中央電力公社(Eletrobras)の電力エネルギー発電事業の民営化反対発言に伴って、10日のEletrobras社の株価は9.11%下落していた。
「我々はEletrobras公社をどの国に対しても譲渡してよいのか? 貴方はEletrobras公社が中国資本の傘下に入っても容認できるか? 我々ブラジル人にとって川中のEletrobras公社の配電事業分野の民営化は心配ないが、川上のエネルギー発電事業の民営化は非常に危険で断固反対」とボウソナロ候補はバンデイランテスTVのインタビューに答えている。
しかしブラジル中国商工会議所(CCIBC)のCharles Tang会頭は、「我々中国企業は既にブラジルに1,200億ドルを投資して、ブラジルの経済リセッションからの回復や雇用創出に大いに寄与している」と強調している。
ミナス・ジェライス電力公社(CEMIG)が連邦政府との間で新規契約更新をしなかったサンシモン水力発電所は、昨年に国家電力投資集団公司(SPIC)が買収した。またSPIC社は、CEMIG社並びにオデブレヒト社は所有するサント・アントニオ水力発電所の株式譲渡で交渉中と予想されている。
中国企業による電力エネルギー発電事業進出では、投資をする際に法人を新しく設立して、設備や従業員の確保、チャネルの構築や顧客の確保を一から行うグリーンフィールド投資は29件で59億5,000万ドルに留まっている。
一方外国に投資をする際に、自社で初めから設備投資や従業員の確保するのではなく、現地の企業を買収することで被買収企業の既存の設備や従業員、チャネルや顧客を利用するというブラウンフィールド投資は、72件で480億1,000万ドルと大半を占めている。
2014年~2017年の中国企業による投資は米国向け投資が282億ドルでトップ、ブラジルは213億ドルで2位、オーストラリア106億ドル、英国90億ドル、香港79億ドルで5位を占めている。
またペルー向け投資は70億ドルで6位、スイス61億ドル、マレーシア59億ドル、コンゴ36億ドル、カナダ35億ドル、スペイン32億ドル、ドイツ31億ドル、イタリア29億ドル、アラブ首長国連邦27億ドル、ロシア24億ドル、パキスタン並びにシンガポール23億ドル、モンゴル21億ドル、カザキスタン17億ドル、バミューダ諸島は15億ドルとなっている。(2018年10月17日付けエスタード紙)