2017年の連邦政府並びに地方政府(州・市)の公共投資はGDP比1.17%まで減少して、過去50年間では最低レベルまで低下、国道や州道の保全、公共ビルや機械・装置の保守まで維持できない程の支出削減を迫られ程に、各政府の財政収支が悪化している。
国庫庁の発表によると、2017年度の連邦政府並びに地方政府(州・市)の公共投資は769億レアルに留まって、固定資産である建物、機械、器具、備品、自動車などは、時間の経過や使用によって価値が減少する減価償却資産をカバーするには至っていない。
また連邦政府並びに地方政府(州・市)の減価償却費を維持するために、2017年度の公共資産の使用可能期間である耐用年数に割り振られる減価償却費相当の365億レアルの投資が行われなかった。
応用経済研究院(Ipea)エコノミストのロドリゴ・オライル氏並びにセルジオ・ゴベッティ氏は、1999年~2003年にかけて平均公共投資額は、僅かGDP比1.5%に留まっていたと説明している。
しかし2003年から公共投資は景気回復に伴って上昇傾向を維持して、ピークの2010年の公共投資はGDP比2.8%まで上昇したにも関わらず、2014年を除いて2017年まで減少傾向が続いている。
1964年の軍事クーデター後発足した軍事政権のもとで、年間平均実質工業生産成長率が12.9%を記録して「ブラジルの奇跡」と呼ばれる高度成長期の1968~1973年のピーク時の公共投資はGDP比4.42%に達していた。
連邦政府の公共投資は政治や政権に大きく左右されてきており、今年は10月に大統領選挙を控えているために、昨年よりも公共投資は拡大するにも関わらず、ラヴァ・ジャット汚職問題や財政プライマリー収支赤字が継続などの要因で、地方統一選挙の年でも公共投資向け支出カットは不可欠となっているとロドリゴ・オライル氏は説明している。
2011年~2014年にかけてブラジル経済が好調に推移していたために、ブラジルは信用格付けを投資適格級を維持して、各州政府では海外から資金を調達して盛んに、都市環状道路や地下鉄などの公共投資を行っていた経緯があった。(2018年4月27日付けエスタード紙)