年間の売上が600億ドルで中国最大の国際工事請負業者である中国資本の中交交通建設(CCCC)は、港湾並びに埠頭、航路、自動車道路、橋梁、鉄道、トンネルなど交通インフラ建設を事業の柱としており、ブラジルのインフラ整備事業にすでに進出している。
交交通建設(CCCC)は、2016年11月にブラジルのゼネコン企業Concremat Engenharia社の80%の株式を3億5,000万レアルで取得、またWTorre社傘下のマラニョン州サンルイス港湾での多角的ターミナル建設も手掛けている。
インフラ部門向け投資の400億レアルの資金を擁している中交交通建設(CCCC)は、ブラジル国内の鉄道網部門への進出を模索しており、Cosanグループ傘下Rumo社(元ALL)が所有している総延長距離が7,208Kmで南大河州並びにサンタ・カタリーナ州、パラナ州にまたがる南部地域鉄道網(Malha Sul)の株式55%~60%取得で経営権所得を狙っているが、Rumo社次第では少数株主に甘んじる可能性を示唆している。
中交交通建設(CCCC)は、すでに南部地域鉄道網に対して企業の資産価値を適正に評価するデューディリジェンス(Due diligence)を開始、初期投資は20億レアル、今後10年間で60億レアルの投資を見込んでいる。
Rumo社はBank of America Merrill Lynch社を通して、南部地域鉄道網の買収案件を委託しているが、中交交通建設(CCCC)は、南部地域鉄道網以外にもコンセッション期間が2028年で終了、再契約が30年間の総延長距離が2,028 Kmのパウリスタ鉄道網(Malha Paurista)にも興味を示している。
2006年の南部地域鉄道網(Malha Sul)の貨物輸送は2万8,900トンであったが、現在は1万8,300トンまで減少、採算の合わないアルゼンチン向け貨物輸送を停止している。
複数の中国企業は、ブラジル国内の鉄道コンセッションに注目しており、ピアウイ州エリゼウ・マルチンスとペルナンブーコ州スアペ港とセアラー州ペセン港を結ぶ鉄道建設で北東地域奥地の鉄鉱石や原油、農産物をセアラー州やペルナンブーコ州の港湾から輸出するため2010年から建設開始のトランスノルデスティーナ鉄道の投資参入を虎視眈々と狙っている。
また中国企業各社は、投資パートナーシッププログラムによる入札が2018年に予定されている投資総額が16億3,000万レアルに達する南北鉄道プロジェクト、投資総額が11億4,000万レアルのバイア州の東西統合鉄道(Fiol)、鉄道建設区間が1,000キロメートルのFerrograoプロジェクトへの参入を狙っている。
2014年~2017年現在の中国企業による国別投資では、米国向け投資総額が282億ドルで1位、ブラジルは213億ドルで2位、オーストラリア106億ドル、英国90億ドル、香港79億ドル、ペルー70億ドル、スイス61億ドル、マレーシア59億ドル、コンゴ共和国36億ドル、カナダ35億ドル、スペイン32億ドル、ドイツ31億ドル、イタリア29億ドル、アラブ首長国連邦27億ドル、ロシア24億ドル、パキスタン並びにシンガポール23億ドル、モンゴル21億ドル、カザキスタン17億ドル、バミューダ―諸島が15億ドルとなっている。
中国企業のブラジル向けM&A投資では、2015年のM&A投資総額は50億ドルで10セクターに投資、2016年は119億ドルで7セクターに投資、2017年初め10カ月間は48億ドルで4セクターに投資している。(2017年11月29日付けエスタード紙)