3年近い経済リセッションによる国内経済低迷や政治危機などの影響で投資リスクが非常に高いにも関わらず、株価下落でブラジル企業の時価総額が大幅に減少してハイリスクハイリターンの状況にも関わらず、中国企業はブラジル国内で果敢に投資を行っている。
今年初め10カ月間の中国企業によるブラジル国内の投資総額は、108億4,000万ドル(レアル換算で353億レアル)に達しており、今年の中国企業による投資は、昨年の6件のM&Aを大幅に上回る17件のM&Aをコンサルタント会社Dealogic社では予想している。
また2018年のブラジルは大統領選挙で先行き不透明にも関わらず、中国企業にとっては第2波の投資ブームの可能性が見込まれており、インフラ整備部門以外にも多岐にわたる分野での投資をDealogic社では予想している。
少なくとも中国資本の10社以上の大企業が4年前からブラジル進出を検討しており、入札条件や州政府による投資誘致恩典や州間の税制相違点などを綿密に研究しているとKPMG社Daniel Lau取締役パートナーは指摘している。
中国企業は今後新たに代替エネルギー部門、鉄道、港湾、鉱業、紙・パルプセクターへの進出機会を模索している。鉄道や港湾セクター向け投資では、2018年上期にインフラ事業の更なる民営化を目的とした投資パートナーシッププログラム(PPI-Programa de Parcerias de Investimentos)によるFerrograo入札には、コンソーシアムを組んで参加すると予想されている。
中国企業による2018年からの投資では、保健衛生セクター並びにロディスティック、農業ビジネス、テレコンセクターにも積極的に投資するとModal銀行のエドアルド・セントラ経営パートナーは予想している。
2018年には大統領選挙があるにも関わらず、中国企業は20年以上の長期視点に立った投資を行うために、多少の政治リスクは意に介しないとエドアルド・セントラ経営パートナーは説明している。
China Three Gorges社によるTriunfo社の小型水力発電所並びにJupia水力発電所、 Ilha Solteira水力発電所を買収、同社では、今後10年間で買収した水力発電所の近代化に20億レアルの投資並びに太陽光発電システムへの投資を予定している。
BYD社は自動車セクターや再生可能エネルギーセクターに積極的に投資を行っているが、今年は2億5,000万レアルを工場拡張などに投資、2018年には電気自動車向けバッテリー工場建設をAdalberto Maluf取締役は説明している。
2017年の中国企業によるブラジル国内での最大のM&A案件として、2016年6月以降にゼネコン大手カマルゴ・コレア社が擁していたCPFL Energia社の45.36%の株をState Grid社が37億1,800万ドルで取得している。
M&A案件2位は、ミナス・ジェライス電力公社(CEMIG)との新規契約更新をしなかったサンシモン水力発電所を中国資本State Power Investmentが22億5,800万ドルで買収した。
また中国資本China Merchants Port Holdings社は、パラナ州で唯一のコンテナターミナルを有するTCPの株式90%を11億7,500万ドルで取得して、中南米拠点のブラジル進出に拠点を築いた。
Citic Agro Fundo社は Dow Agrosciences Sementes & Biotecnologia Brasil社を11億ドルで買収、State Grid社は、CPFL Energia Renovaveis社に9億3,830万ドルを投資している。(2017年11月7日付けUOLサイトより抜粋)