3年近い経済リセッションによる国内経済低迷や政治危機などで投資リスクが非常に高いにも関わらず、株価下落でブラジル企業の時価総額が大幅に減少してハイリスクハイリターンの状況が続いている。
今年6月までの過去30カ月間の中国企業によるM&Aなどによるブラジルへの対内直接投資は、600億ドルに達して常に直接投資トップであった米国を抜いて最大の直接投資国になっている。
2016年の中国企業によるブラジルへの対内直接投資は、239億6,000万ドルに達して米国の134億ドルを80%上回った。また今年上半期の中国の対内直接投資は、178億ドルで米国の123億ドルを50億ドル以上上回っている。
今年は中国企業による6件の買収案件を抱えており、食品・飲料セクターやコモディティセクター、不動産セクターでのM&A案件であるとサンタンデール銀行のJean Pierre Dupui副社長は説明している。
今年上半期の中国企業によるブラジル企業の買収案件の97%は電力エネルギーセクターに集中しているが、今後は空港や港湾を中心にインフラ整備部門への投資増加が予想されている。
先週中国資本China Merchants Port Holdings社は、パラナ州で唯一のコンテナターミナルを有するTCPの株式90%を29億レアル取得して、中南米拠点のブラジル進出に拠点を築いた。
2015年~2017年上半期までの中国企業による買収や資本参加案件として、ラヴァ・ジャット作戦汚職関連問題で連邦警察の捜査を受けたオデブレヒト・トランスポルテ社は、資金調達のためにガレオン国際空港の自社権益を中国資本HNA社への譲渡でサインした。
オデブレヒト・トランスポルテ社は、ガレオン国際空港の自社権益である31%の株式をシンボリックな価格の6,000万レアルで中国資本HNA社に譲渡するが、ガレオン国際空港を落札したコンセッションは、毎年10億レアルを支払わなければならない。また中国資本HNA社はアズール航空に22%資本参加している。
電力エネルギー部門への直接投資では、State Grid社によるAtrantico トランスミッション並びにMontes Clarosトランスミッションへの資本参加、China Three Gorges社によるTriunfo社の小型水力発電所、Jupia水力発電所、 Ilha Solteira水力発電所を買収している。
またState Grid社は、2016年6月以降にゼネコン大手カマルゴ・コレア社が擁していたCPFL Energia社の54.6%の株を取得、CPFL Energia Renovaveis社の48.4%の株も取得している。
2016年にも中国三峡集団公司(CTG)は、1999年にブラジルの電力エネルギー部門に進出した米国資本Duke Energyのブラジル国内資産を12億ドルで買収して、民間4位の電力エネルギー企業となった。
Zotye社は自動車セクターの Tac Motors社、 Qihoo360 社は情報セクターのPsafe社、 Bank of Communications社は、ファイナンスセクターの BBM 社にそれぞれ大型の投資を行った。
中交交通建設(China Communications Construction Company -CCCC)は、サンルイス港湾ターミナルやConcremat Engenharia社、 Zhejiang Zotye Auto社は、自動車セクターの Tecnologia Automotiva Catarinense社、 Xiaomi社は電機セクターにそれぞれ投資を行っている。
またShenzhen Center Power Tech社は バッテリーメーカーのUnicoba Baterias Participacoes社に59.2%の資本参加、Xiaoju Kuaizhi社も99Taxis社に資本参加している。
不動産関連ではFosun International社は Sucupiraタワーの買収、また同社は金融機関のRio Bravo Investimentos社にも資本参加。プラスティック関係では、Daoming Optics & Chemical社は Onyx Tecidos e Filmes Refletidos社の51%の株式を取得している。
穀物関係では、Hunan Dakang Pasture Farming社は Fiagril社に57.6%の資本参加、また Belagricola社にも資本参加、鉱業関係では、China Molybdenum社は Anglo American Fosfatos e Niobio社に資本参加している。(2017年9月11日付けエスタード紙)