バイア州の造船所であるESTALEIRO ENSEADA DO PARAGUAÇU S.A.(EEP)は、ドリルシップや洋上石油・ガス生産設備向けFPSOを生産するために、ブラジル大手ゼネコン企業Odebrecht社(オデブレヒト)、OAS社およびUTC社、日本進出企業の出資を仰いで設立された。
ブラジルのエスピリット・サント州からサンタ・カタリーナ州沿岸にかけて膨大な埋蔵量を誇る岩塩層下(プレソルト)油田の発見で、原油・天然ガス開発・掘削のためのドリルシップや洋上石油・ガス生産設備向けFPSOなどの各種船舶の需要にこたえるために、バイア州や南大河州での国内造船企業の設立が相次いでブラジルの造船業界が活性化していた。
しかし2014年3月に発覚した連邦警察によるペトロブラス石油公社関連ラヴァ・ジャット作戦汚職問題による公共事業プロジェクト停止や新規インフラ事業取消などの影響で、ブラジルの大半のゼネコン大手企業が資金調達や負債増加に直面して、企業更生法申請や破産宣告などで人員削減を余儀なくされていた。
ペトロブラス石油公社が資本参加をして2011年に設立されたプレソルトの原油・天然ガス開発向け28隻のプラットフォームFPSO建造する目的で設立されたSete Brasil社も企業更生法を余儀なくされていた。
PARAGUAÇU造船もSete Brasil社からドリルシップ6隻建造の受注ですでにドルシップを建造中であったにも関わらず、全てのプラットフォーム建造の発注元であるSete Brasil社からのキャンセルの影響で、2015年6月からプラットフォーム建造中止に追い込まれていた。
Sete Brasil社はPARAGUAÇU造船に対して17億レアルの支払いを停止したが、PARAGUAÇU造船ではすでに27億レアルを投資して82%に達するドリルシップの建造が進んでいた。しかし今では僅か90人の従業員がメインテナンス事業に従事しているに過ぎない。
PARAGUAÇU造船は、今年1月に裁判外の再生(recuperação extrajudicial)を申請しており、裁判外の再生手続では、債務者は事前に債権者と交渉し、債権者の承認を得た上で、裁判所に対して再生計画の認証を求めることが可能となる。
PARAGUAÇU造船では、すでに160万平方メートルの敷地に造船事業並びにロディスティック部門に27億レアルを投資しており、事業継続のために資本参加パートナーや事業のポートフォリオを模索している。(2017年5月20日付けエスタード紙)