9日にジウマ・ロウセフ大統領が発表した国内インフラの民営化で、連邦政府は、現時点で高速道路を利用したトラック輸送が中心になっている、ブラジル国内の物流インフラ構成の再編を図る。現時点で実現可能性調査(FS:フィジビリティスタディ)すら実施されていない南米大陸横断鉄道事業を除外したとしても、鉄道線に関して連邦政府は、総延長4,000km以上の鉄道線の民営化を公約した。またこの鉄道線の大部分は、これまで輸送が限界にあった、ブラジル中西部で生産された大豆の集積事業を主な目的とした鉄道線である。
国際通貨基金(IMF)が5月に発表したレポートによると、ブラジルは、同様に広大な国土を持つ国々(オーストラリアとカナダ、中国、ロシア、アメリカ)と比較して、国内物流構成が劣悪な状態にある。国内の物流船体のおよそ60%が、劣悪な状態の高速道路を利用したトラック輸送であり、これが、国産品のコストの上昇につながっている。
ドン・カブラル財団イノベーション&起業家精神センターのカルロス・ブラガ主任は、「ブラジルの農業部門は作付面積を拡大し生産性を向上させているが、収穫した農産物を農場から出荷し、港湾まで輸送する間に、この競争力の大部分が失われてしまう」と指摘する。同主任によると、今回連邦政府が発表した物流インフラ計画は歓迎すべきものだが、依然として、物流業界が抱えてきた負の遺産を縮小するという大きな課題がある、という。「歴史的に抱えてきた問題が存在し、それは、短期的に解決できるものではない」と話す。
このように連邦政府が取り組む姿勢を見せているが、鉄道インフラの整備では、残された課題は少なくない。複数の専門家は、重要なポイントの1つとして、民営化モデルの策定を挙げる。2012年以来、連邦政府は、新たな民営化モデルの策定を進めており、そこでは、鉄道線の建設と運営を分離して推進することが検討されてきた。だが、投資家からは歓迎されておらず、この民営化モデルは、事実上、選択肢から除外された格好だ。
いずれのモデルを採用するにしても、連邦政府は、早急に民営化モデルを構築して国内投資を活性化する必要がある。GOアソシアードスの経営パートナーでエコノミストのゲスナー・オリベイラ氏は、「最低限の投資がなければ、ブラジルは、リセッションから恐慌に陥るだろう」と話す。しかも同氏は、今回の民営化計画は即座に効果を発揮するわけでもないと指摘する。事業の多くで、FSの実施を必要としているためだ。(2015年6月14日付けエスタード紙)