今日19日、中国の李克強首相はブラジリアでジウマ・ロウセフ大統領と会談、ブラジルのインフラ整備部門に総額530億ドルの投資を行うと予想されており、インフラ整備部門の投資以外でも中国向けブラジル産の牛肉輸出やエンブラエル社の航空機の輸出などが予定されている。
今年のブラジル経済は鉄鉱石や穀物の国際コモディティ価格の減少による輸出の下落、製造業を中心とした生産減少によるブラジル国内経済の低迷、財政再建化のための公共投資の削減などの要因でインフラ整備部門の投資が停滞しているために、連邦政府では中国からのインフラ整備部門の投資を諸手を挙げて歓迎している。
昨年、習近平国家主席のブラジル訪問時に提携を交わした太平洋と大西洋を結ぶ大陸横断鉄道の建設事業では、中国鉄建(CRCC)とブラジルの建設会社カマルゴ・コレアがコンセッションを組んで入札に参加する。
この大陸横断鉄道で最初に事業入札が実施されるルートは、マット・グロッソ州ルーカス・ド・リオ・ヴェルデ市とゴイアス州カンピ・ノルテ市を結ぶ区間で900キロメートルの鉄道建設工事に総額54億ドルの投資が見込まれている。
昨年初めに中国資本State Grid社とエレトロブラス社が落札した電力配電コンセッションは、ベロ・モンテ水力発電所からサンパウロ州への送電網2,100キロメートルの区間で、投資総額は50億レアルが予想されていた。
今年6月にはベロ・モンテ水力発電所からリオ州までの総額77億ドルの投資が見込まれる電力配電コンセッション入札が予定されており、電力業界関係者は中国資本State Grid社が落札する可能性を見込んでいる。
連邦貯蓄金庫(Caixa)並びに中国開発銀行が共同で設立したインフラ整備向け投資ファンドは、ベロ・モンテ水力発電所からリオ州までの第2電力配電コンセッション向けに100億ドルのクレジットを提供すると予想されている。
大穀倉地帯の中西部地域の穀物輸送向けにマット・グロッソ州ルーカス・ド・リオ・ヴェルデ市とゴイアス州カンピ・ノルテ市を結ぶ区間に中国資本の参加が予定されているが、ブラジルの鉄道関連団体は中国からの貨車や機関車などの輸入を憂慮している。
昨年のブラジル鉄道関連の売り上げは56億レアルで直接雇用は2万人、4,703台の貨車並びに80台の機関車、374台の客車などを生産しているにも関わらず、中国企業が鉄道コンセッションを落札すればブラジル国内の鉄道関連事業は底価格の中国製に席巻される可能性がある。
中国がアルゼンチンで鉄道の近代化事業を請け負った後に、中国から貨車3,000台、機関車100台、線路や枕木まで輸入してアルゼンチンの鉄道関連部門が壊滅的な状態に陥った前例があり、ブラジルの鉄道関連団体も同様の事態に落ち込むことを懸念している。(2015年5月19日付けエスタード紙)