アフガンでの使用を念頭に置く軽攻撃機(LAS)としてエンブラエル社のA-29 Super Tucano20機を3億5,500万ドルで購入する契約を、米空軍がキャンセルした。
エンブラエルではA-29機は米空軍が要求した機能をすべて満たしており、キャンセルされた理由は見当たらないとする。今年は米国の大統領選挙の年であり、また今回の機種選定に負けたコンペティター米国資本Hawker Beechcraft Corporation社(HBC)の本社があるカンサス州の州議会の政治問題がこの契約キャンセルに絡んでいる可能性が指摘されている。
米空軍の購買責任者であるDavid Van Buren氏は、機種選定を決定した書類に不備があると指摘しており、また空軍の装備関連部門のDonald Hoffmann取締役は、入札プロセスの捜査開始を決定したと述べている。
今回のエンブラエルのA-29と入札で争っていたのは、HBC社のAT-6型軽攻撃機であったが、エンブラエルは今回のキャンセルに伴って、9億5000万ドルに相当するオプション契約も失い、また同社米国内のWichita市工場閉鎖によって直接・間接雇用の1,400人が失業する可能性がでてきている。
エンブラエルは、75億ドルから100億ドルに相当する2004年のペンタゴンによるインテリジェンス攻撃機58機入札を獲得したが、そのすぐ後でキャンセルされた経験があった。
ブラジル空軍が開催を予定している攻撃機の入札では、最終選考に残った米国ボーイング社、フランスのDassaultsya社 、スエーデンのSaab社の中から選定されるが、今回の契約キャンセルの影響でボーイング社には不利になると予想されている。 A-29型攻撃機は7ヵ国に納入されており、ペルー政府が購入を予定している。(2012年2月29日付けエスタード紙)