ペトロブラス石油公社は、南大河州リオ・グランデ港湾のブラジルの大手造船会社エコビックス社(ECOVIX)傘下のリオ・グランデ造船所(RG ESTALEIROS)で建造中であった岩塩層下(プレソルト)原油開発向けのFPSO(洋上浮体式生産・貯蔵・積出施設)のプラットフォームP-71の建造中止を決定した。
ペトロブラスは先週、中国資本の造船会社CIMC RafflesにプラットフォームP-71の建造を発注、しかしリオ・グランデ造船所では、すでにプラットフォームP-71建造に1億5,000万ドルを投資、完成までに2億ドルの資金投資が必要となっていた。
しかしペトロブラスは、リオ・グランデ造船所によるP-71の建造中止に伴って、すでに建造のために消費された3万8,000トンの鉄鋼板を屑鉄用スクラップとして売却を決定、同社はスプラップ売却で1,200万レアル、リオ・グランデ造船所は320万レアルの売却益を受け取る。
ルーラ政権時の2006年に、エスピリット・サント州からサンタ・カタリーナ州の沿岸200キロメートル以上の広大な地域の深度5,000メートル以上の膨大な埋蔵量を誇る岩塩層下(プレソルト)油田が発見された。
連邦政府は、ブラジル資本の造船会社によるプレソルト油田開発向けプラットフォーム建造を奨励するために、優遇税制やローカルコンテンツなどいろいろな規制を設けて国内造船会社を保護していた経緯があった。
リオ・グランデ造船所ではプレソルト油田開発向けプラットフォーム建造で2万4000人の従業員を擁していたにも関わらず、石油の国際コモディティ価格下落並びに低開発コストの米国産シェールガスの増産、世界的な石油需要減少、採算割れを引き起こしている高コストのプレソルト石油開発、連邦警察のラヴァ・ジャット作戦で発覚しているペトロブラス石油公社関連汚職問題などで、不良債権を抱えていたEcovix 社が企業更生法を申請していた。
Ecovix 社は、ペトロブラスからのP-71建造キャンセルに対して一切説明がなく、中国企業への外注に不信感を抱いているが、Ecovix 社では、他の造船企業と共同でP-71を完成させて、プレソルト地域で石油開発を行っている企業に貸出すことも検討している。(2018年3月9日付けエスタード紙)