ブラジル最大級の造船会社アトランチコスル造船所(EAS)は、ペトロブラス石油公社を巡る汚職事件の影響で、工事代金が回収できずに負債増加で特別損失を計上して企業更生法申請を余儀なくされた。
EAS造船所は、ペトロブラス石油公社傘下の輸送ロジスティック会社Transpetro社向け原油輸送船舶の建造を請け負っているが、新たな船舶建造の発注がなければ2019年下半期にはEAS造船所は閉鎖に追い込まれる。
同造船所は、最大の債権者である社会経済開発銀行(BNDES)に対して13億レアルの負債を抱えており、また今年末までにBNDES並びにブラジル銀行、民間銀行のブラデスコ銀行、サンタンデール銀行に3億5,200万レアルの負債返済をしなければならない。
EAS造船所はSouth American Tanker Company(Satco)との間で総額が16億7,000万ドルに達する13隻の原油輸送船建造で交渉中であり、建造が成約すれば再生の可能性が出てくる。
同造船所は、ブラジル造船業再生のシンボルとして2008年に設立され、日系造船企業3社も資本参加、大型の船舶や海洋構造物を建造できるブラジル最大の設備能力を有する造船所として、ペトロブラスグループ向けに石油資源開発用ドリルシップやタンカー等を受注・建造していた。(2017年6月13日付けヴァロール紙)