2020年3月末のブラジルの5大銀行の資産総額は、新型コロナウイルスのパンデミック危機の影響で、大企業を中心とした手元資金確保などの要因でクレジット部門拡大が牽引して、ブラジルの国内総生産GDPを上回る7兆3,630億レアルに達している。
イタウ・ウニバンコ銀行、ブラジル銀行、ブラデスコ銀行、サンタンデル銀行並びに連邦貯蓄金庫で構成される5大銀行の今年3月末の総資産は7兆3,630億レアルに達し、2019年末のブラジルのGDP総額の7兆3,000億レアルを初めて突破している。
2017年のブラジルの5大銀行のクレジット総額はGDP比47.1%であったが、今年3月末のGDP比は48.9%に上昇、また2017年末の用途が限定されない自由クレジット総額のGDP比率は23.6%であったが、3月末のGDP比は28.8%と5.0ポイント以上上昇している。新型コロナウイルスのパンデミック危機の影響による企業倒産に備えて、ブラジル5大銀行の今年第1四半期の貸倒引当金総額は217億レアルに達している。
今年第1四半期末の5大銀行のクレジット総額は、昨年末比で1,760億レアル増加で総クレジット残額は3兆3,120億レアル、過去12か月間では3,480億レアルの増加を記録している。
新型コロナウイルスのパンデミック危機の影響で、第1四半期の法人向けクレジットは拡大したが、今後はクレジット需要に対するクレジット供給は同じペースでの増加は不可能であり、クレジット減少を余儀なくされるとイタウー銀行のCandido Bracher会長は説明している。
ブラジル銀行協会連盟(Febraban )の調査によると、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミック危機のブラジルの5大銀行の個人向け並びに法人向け新規,借り換え、負債返済延長などでクレジット総額は5,400億レアルに達しており、今後数か月間の新規クレジットの余地はなく、返済条件の交渉、企業収益下落によるリストラなどが拡大する。
今年第1四半期の個人向けクレジット需要は大幅に減少、この傾向は失業増加や実質収入の減少で今後もクレジット需要の減少が見込まれている。今年第1四半期の5大銀行の純益総額は、新型コロナウイルスのパンデミック危機の影響で、前年同期の240億レアルよりも25.6%減少の180億レアルに留まっている。
パンデミック危機だけに留まらず、今後の中長期的に5大銀行は、FinTech(フィンテック)との熾烈な競争にさらされると元中銀理事でMauá Capital社を創業したLuiz Fernando Figueiredo社長は、示唆している。