昨日28日マウリシオ・マクリ政権は、返済期限が迫っている短期債権に対して、10月27日の大統領選挙で当選する政権への返済引き延ばしを要請、また国際通貨基金(IMF)とは支払期間の再交渉を要請している。
マクリ大統領は、債権返済に対する支払い能力に問題はないと明言しているが、10月27日の大統領選を前に、今月11日に実施された大統領選挙の予備選で野党候補に大敗した影響で、通貨アルゼンチンペソが大幅に下落した影響で、通貨の流動性確保のため、資金の必要性を主張している。
アルゼンチン政府の発表によると、短期返済の債権総額155億ドルに対して、外貨準備高は570億ドルを擁しているが、今年4月からの左派政権復活の懸念に伴ってアルゼンチン通貨が大幅に下落してきている。
経済混乱が続くアルゼンチンで今月17日のドゥホブネ財務相の辞任、その後任のHernan Lacunza財務相は、短期債務の15%は期限内の支払、25%は今後3か月間、60%は今後6カ月間に支払可能と発表している。
1年前にIMFはアルゼンチン政府に対し、過去最大規模となる総額560億ドルの融資枠を承認して救済の手を差し伸べたにも拘らず、僅か1年で返済の再交渉を要請している。
アルゼンチン政府がIMFの提示した返済プログラムを維持できずデフォルト(債務不履行)に陥り、深刻な不況に見舞われてから20年も経過していないにも拘らず、再度同じ状況に見舞われている。
560億ドルの融資枠を設定した支援策の現状を審査し、融資の段階的な実行を続けるべきかどうか判断するため、IMFの当局者がブエノスアイレスに先週末に到着した。
アルゼンチンでは今月11日に実施された大統領選挙の予備選で、現職のマクリ大統領がポピュリストの中道左派候補であるアルベルト・フェルナンデス元首相に大敗していた経緯があった。
マクリ大統領は緊縮財政と世界有数の高金利の中でIMF支援プログラムを実行してきたにも関わらず、今月11日の大統領予備選での大敗北の影響で、通貨ペソは僅か1週間で20%急落、またアルゼンチン国債の利回りも急騰している。
ブラジルの金融業界関係者はアルゼンチンは誰が大統領に就任しても、今後数年以内にデフォルトに陥る可能性を憂慮しているが、現在の最大の問題は通貨下落であるとヴォトランチン銀行チーフエコノミストのロベルト・パドヴァーニ氏は指摘している。
またリヴィオ・リベイロ氏は、ブラジルの輸出の5.0%はアルゼンチン向けである一方で、工業製品輸出の20%はアルゼンチン向けが占めており、ブラジルの製造業部門への影響が非常の大きいと指摘している。(2019年8月29日付けエスタード紙)