米中貿易摩擦、英国のヨーロッパ連合離脱(ブレグジット)、イタリアの債務危機、香港の「逃亡犯条例」改正問題への抗議デモ、更に昨日14日の中国並びにドイツの経済指標悪化の発表を受けて、世界的経済リセッション懸念で世界中の株価が下落した。
昨日14日、中国政府は今年7月の小売販売は前年同月比7.6%減少、鉱工業生産は僅か4.8%増加したにも関わらず、過去17年間で最低の落込みを記録、またドイツの今年第2四半期のGDP伸び率は、米中貿易戦争のあおりで自動車など製造業の生産・輸出の減少の影響で前四半期比0.1%減少している。
米国の債券市場で2年物の債権金利が10年物を上回る「景気後退の予兆」とされる「長短金利の逆転現象(逆イールド)」の発生、更に中国とドイツの経済指標悪化のニュースが世界中の金融市場に油に火を注ぐ結果となった。
昨日のニューヨークの平均株価は3.0%下落、ヨーロッパは2.0%下落、サンパウロ平均株価(Ibovespa)は2.94%下落、レアル通貨に対するドルの為替は、1.79%高騰のR$4.04と3月27日以来のドル高を記録した。
昨日14日の米国の債券市場で2年物の債権金利が10年物を上回る逆イールド発生は、2007年以来12年間発生していなかったにも関わらず、3カ月物の債権金利が10年物の金利を上回ったのは、既に5月23日に発生していた経緯があった。
先進諸国の投資家は、2年物の債権金利が10年物を上回る逆イールド発生は、先行きの経済成長の停滞と低いインフレの兆候と見ており、1950年以降の米国で発生した経済リセッションの兆候で非常に警戒している。
昨日のフランクフルトの平均株価は2.19%下落、パリは2.08%、ロンドン1.42%、ダウジョーンズ3.05%、ナスダック3.02%、S&P500は2.93%とそれぞれ大幅に株価を下げている。
トランプ政大統領が今月5日に中国を為替操作国に認定して米中貿易戦争がさらにエスカレートしてトランプ政権がドル安志向を一段と強めたことを意味し、中国以外の国々も巻き込んだ通貨戦争のリスクが浮上しており、ブラジル中銀は、2009年2月以降中止していた為替介入の可能性が否定できなくなっている。
大半のエコノミストは2期連続で四半期のGDP伸び率がマイナスを記録する世界的なテクニカルリセッション入りは否定しているが、2020年の世界の平均GDP伸び率は3.0%増加を下回る兆候が出てきている。
今年の世界の平均GDP伸び率は3.2%、来年は3.1%を予想しているにも拘らず、GDP伸び率が弱くなる可能性が否定できないとイタウー銀行エコノミストのロベルト・プラド氏は指摘している。
また中国の今年のGDP伸び率は6.0%を上回るが、中国の経済指標の発表は鵜呑みにできない不安があり、世界の平均GDP伸び率が3.0%を下回ると仮定するならば、多くの発展途上国は経済リセッションに陥る可能性があるとプラド氏は指摘している。
技術的には世界経済リセッション入りとは言えないもののインフレを引き起こさない低調な経済成長に繋がる感触を持っているとBTG Pactual銀行チーフストラテジストのjoão Scandiuzzi氏は説明している。(2019年8月15日付けエスタード紙)