米国のシェールガス生産拡大に伴う石油の国際コモディティ価格下落並びにラヴァ・ジャット汚職問題に関連した大手ゼネコン企業に対する入札参加禁止、経済リセッションによる国内経済停滞などの要因で、ブラジル国内はもとより世界の石油・天然ガス開発が低迷していた。
しかしペトロブラス石油公社は、石油の国際コモディティ価格の上昇傾向並びに今年9月に実施された陸上の堆積盆地を中心としたオンショア鉱区並びに岩塩層上(ポストソルト)油田鉱区の第14回石油・天然ガス入札など、ブラジル国内での石油・天然ガスの再開発に拍車がかかってきている。
2006年に発見されたプレソルト油田は、国際石油価格が2014年から下落して採算性が問題視され、またブラジ国内の経済リセッションやペトロブラスによるラヴァ・ジャット汚職問題も重なって、プレソルト原油開発が長らく中断していた。
世界で最も生産コストの安い砂漠地帯の中近東の生産コストは、僅かに20ドル~40ドルに留まっている一方で、プレソルト原油開発の平均生産コスト30ドル~40ドルはロシアや中国、米国のシェール石油開発コストよりも採算性が優れている。
ペトロブラスではカンポス海盆のプレソルト原油開発のために、ペトロブラス関連の入札に参加できない大手ゼネコン以外の中規模企業の新しいサプライヤーに門戸を開放している。
カンポス海盆で操業中の原油・天然ガス開発・掘削のためのドリルシップや洋上石油・ガス生産設備向けFPSOプラットフォーム25基の総額13億レアルに達するペトロブラス社のメンテナンスサービス入札に17企業が参加した。
しかしこの入札参加条件審査では、ブラジル資本G&E 社がファイナンス条件、イタリア資本Saldimpianti社は、安全性に関する条件審査で不合格となってメンテナンスサービス入札に参加できなかった。
総額13億レアルに達するメンテナンスサービス入札には、ブラジル資本のAlphatec社並びに Belov社、 Elos社、 Enaval社、 Enesa社、 Estrurural 社、GranEnergia社 Imetame社、 Manserv社、 MIP社、 Mota Engil社、 Niplan社、 RIP社、 CSE社、スペイン資本 Cobra社並びに O Engenharia社、中国資本 Kerui社が参加する。
中国資本 Kerui社は、プレソルト鉱区で生産される天然ガスの精製を目的としたリオ州のリオ石油製油所コンビナート(Comperj)の天然ガス精製プロセスプロジェクト入札に参加した。
ペトロブラス石油公社は、2017年末までにサントス海盆リブラ鉱区の北東部に位置するメロ鉱区の1日当たりの原油処理能力が18万バレルに達するFPSOプラットフォーム入札を予定している。
埋蔵量が80億バレル~120億バレルと予想されていたプレソルト原油開発のサントス海盆リブラ鉱区は、2013年に入札が実施され、ペトロブラス石油公社が牽引したコンソーシアムが落札していた。
ペトロブラス石油公社のサントス海盆リブラ鉱区の権益は、コンソーシアムの中で最高の40%、シェル社は20%、フランス資本 Total社は20%、中国海洋石油(CNOOC)並びに中国石油天然ガス集団(CNPC)は、それぞれ10%の権益を所有している。(2017年12月6日付けヴァロール紙)