エスピリット・サント州からサンタ・カタリーナ州沿岸の岩塩層下(プレソルト)原油の膨大な埋蔵が発見されて11年が経過したが、発見当初は海底7,000メートルまで達する深海底油田開発は、技術開発コスト面で生産に結び付くがどうか危惧されていた。
しかし生産コストでは採算が困難であったにも拘らず、連邦政府による石油・天然ガス開発技術の国産化奨励策で、国産の原油開発技術が大幅に向上して今では中近東の産油国並みの生産コストが減少している。
原油のAPI度が非常に高い軽質油のプレソルト原油開発の平均生産コストは、石油の国際コモディティ価格が1バレル当たる30ドル~40ドルでも採算がとれるまでコスト削減に成功して、世界の石油メジャーが競って参加を希望しているとブラジルシェル社のアンドレ・アラウージョ社長は説明している。
世界の原油生産コスト比較では、ブラジル国内の1バレル当たりのプレソルト原油開発の平均生産コストは30ドル~40ドルに対して、ブラジルの陸上の堆積盆地を中心としたオンショア鉱区並びに岩塩層上(ポストソルト)油田鉱区の平均開発コストは10ドル~70ドルとなっている。
また世界で最も生産コストの安い砂漠地帯の中近東の生産コストは僅かに20ドル~40ドルに留まっているが、プレソルト原油開発の平均生産コスト30ドル~40ドルは、ロシアや中国、米国のシェール石油開発コストよりも採算性が優れている。
前記同様にロシアの平均生産コストは20ドル~60ドル、中国は30ドル~70ドル、米国のシェール石油開発コストは35ドル~110ドルと生産コストが最も高く、メキシコ湾岸は45ドル~85ドルとなっている。
2006年に発見されたプレソルト原油開発の生産性は当初よりも30%増加、現在のブラジルの1日当たりのプレソルト原油生産は、150万バレルとブラジル国内生産の50%に匹敵するとリオ連邦大学のエルデール・ケイロース教授は説明している。
今週27日から実施される第2回並びに第3回プレソルト原油開発入札には、世界の石油メジャーを含む14企業参加が予定されており、エスピリット・サント州からサンタ・カタリーナ州沿岸にかけてのプレソルト地域の8鉱区が入札にかけられる。
6年以上に亘って滞っていた第1回岩塩層下(プレソルト)原油開発向け入札が2013年11月に実施され、サントス海盆のリブラ鉱区は、ペトロブラス石油公社並びにフランス資本のTotal社、英国/オランダ資本の Shell社、中国海洋石油(CNOOC)、中国石油天然ガス集団(CNPC)のコンソーシアムが落札した。
2006年に発見されたプレソルト油田は、国際石油価格が2014年から下落して採算性が問題視され、またブラジ国内の経済リセッションやペトロブラスによるラヴァ・ジャット汚職問題も重なって、プレソルト原油開発が長らく中断していた。
2014年から下落している国際原油価格にも拘らず、2014年の1バレル当たりのブラジル国内の原油開発の平均生産コストは、9.1ドルから今年6月末には7.0ドルまで低下して、採算性が大幅に向上している。
今月初めにペトロブラスのペドロ・パレンテ総裁は、ニューヨークで投資家向けにプレソルト原油開発入札について講演、2014年の国際石油価格は30ドルであったが、現在は50ドルまで上昇しており、中近東並のプレソルト油田の生産コストの優位性を強調していた。
今週27日のプレソルト原油開発鉱区入札では8鉱区が入札にかけられ、そのうち4鉱区は、サントス海盆のカルカラ鉱区北部地域並びにガット・デ・マット鉱区南部地域、サピニョーラ鉱区周辺、カンポス海盆のタルタルーガ・ヴェルデ鉱区南東部地域となっている。
その次の入札では4鉱区の入札が予定されており、サントス海盆のパウ・ブラジル鉱区並びにペローバ鉱区、カンポス海盆のアウト・デ・カーボ・フリオ・オエステ鉱区となっている。
インシチュー採収法で計算されている埋蔵量比較では、ペローバ鉱区が53億バレルで最大、パウ・ブラジル鉱区は41億バレル、カルカラ鉱区は22億バレル、開発中のガット・デ・マット鉱区の埋蔵量は2億300万バレル、サピニョーラ鉱区は3億5,000万バレル、タルタルーガ・ヴェルデ鉱区1億6,000万バレルが見込まれている。(2017年10月24日(17日含む)付けエスタード紙)