中国資本State Grid社は、ブラジル国内経済の回復サイクル入り並びに政策誘導金利(Slic)低下に伴う銀行金利の引下などの要因で、ブラジル国内の電力エネルギー部門への長期投資の好機会と見込んで、企業買収やコンセッション入札で積極的に事業拡大を進める。
2011年~2013年の中国企業のブラジル向け投資は、鉱工業部門を中心に機械・装置セクター並びに自動車セクター、電気・電子セクターなど国内消費向けの製造業への投資が大半を占めていた。
しかし2014年~2015年は、電力エネルギーなどの規制緩和に伴ってインフラ整備部門への投資に軸足を置いて、基幹産業であるインフラ関連企業買収や資本参加でマーケットシェア拡大を図っていたが、その後はラヴァ・ジャット汚職問題でインフラ整備向けプロジェクトが軒並み凍結されていた。
2015年の中国企業による投資として、中国三峡集団公司(CTG)は、電力エネルギー部門のTriunfo Participações e Investimentos社に2億9,042万ドル、同じ中国資本のライバルState Grid社も電力エネルギー部門に20億9,581万ドルの投資をしていた。
一昨日ミナス・ジェライス電力公社(CEMIG)傘下の総発電量が2.9ギガワットに達するJaguara水力発電所並びに São Simão水力発電所、Volta Grande水力発電所、 Miranda水力発電所の入札を実施、中国資本SPIC Pacific社がSão Simão水力発電所を落札している。
Eletrobras公社の4カ所の水力発電所入札が実施されたが、連邦政府は海外からの会社買収を防止するため、政府が保有している拒否権付き株式のゴールデンシェアを維持すると鉱山・エネルギー省のフェルナンド・コエーリョ・フィーリョ相は説明している。
昨日、パラー州ベロ・モンテ水力発電所から南東部地域への送電線網工事開始のために、リオ州Paracambi変電所の定礎式に参加したState Grid社のZhu Guangchao専務は、ブラジルが再び経済成長を開始、電力部門への入札に積極的に参加して長期投資を続けると強調している。
State Grid社は、パラー州ベロ・モンテ水力発電所から南東部地域への送電線網工事に96億レアルを投資、パラー州並びにトカンチンス州、ゴイアス州、ミナス州、リオ州を経由する総延長距離が2,518キロメートルの送電線網建設を開始する。
ベロ・モンテ水力発電所から南東部地域への送電線網工事のため設立されたXingu Rio Trasnmissora de Energia(XRTE)社のPaulo Esmeraldo副社長は、工事完成は2019年12月を予定、投資総額96億レアルのうち30億レアルは社会経済開発銀行(BNDES)のクレジット、残り66億レアルの50%は社債発行で資金調達を行うと説明している。
工事完成の2019年12月までの工事期間中は、設計(engineering)、調達(procurement)、建設(construction)を含む建設プロジェクトの建設工事請負契約であるEPC契約をブラジル企業2社並びに中国企業2社と締結、1万6,000人の雇用創出につながると期待されている。(2017年9月29日付けヴァロール紙)