ラテンアメリカ最大級の電力エネルギー会社であるブラジル中央電力公社(Eletrobras)は、財政再建政策の一環として負債軽減やコストカットなどで早急な構造改革に迫られており、連邦政府では、Eletrobras公社傘下の水力発電所や電力エネルギー配電会社などの民営化計画を検討していると一昨日発表していた。
Eletrobras公社の民営化計画の発表で、昨日の同社の株価終値は49.3%高騰、昨日1日だけでEletrobras公社の時価総額は、90億レアル増加の290億レアルを記録した。
Eletrobras公社の民営化計画発表は、連邦政府が進めているブラジル銀行や連邦貯蓄金庫の公務員の希望退職などによる公務員削減やアウトソーシング制度導入などに拍車がかかると予想されているが、労働者党(PT)を筆頭に野党連合は公社民営化の猛反対している。
テーメル大統領が2016年9月にインフラ事業の更なる民営化を目的とした投資パートナーシッププログラム(PPI-Programa de Parcerias de Investimentos)による電力公社民営化が導火線となって、海外投資家は大幅な基幹産業の民営化を歓迎している。
Eletrobras公社は、過当な負債を抱えて設備投資向け資金に余裕がなく生産性改善が停滞していたが、民営化による資本導入で生産性向上が可能になるとRenascencia Corretora社のルイス・ロベルト・モンテイロ氏は指摘している。
Eletrobras公社の民営化計画発表で、昨日のサンパウロ証券取引所(BM&FBovespa)と証債権取引決済・保管センター(Cetip)が合併して設立されたB3社のサンパウロ平均株価(Ibovespa)は、2.01%上昇して2011年以来初めて7万ポイントを突破を突破した。
Eletrobras公社の民営化計画発表したにも関わらず、連邦政府は海外からの会社買収を防止するため、政府が保有している拒否権付き株式のゴールデンシェアを維持すると鉱山・エネルギー省のフェルナンド・コエーリョ・フィーリョ相は説明している。
昨年7月に就任したEletrobras公社のウイルソン・フェレイラ・ジュニオール総裁は、負債軽減やエフィシエンシー向上のために総裁就任以来民営化計画を進めてきたが、公務員削減に繋がる民営化反対を唱える労働組合との話し合いが平行線をたどっている。
Eletrobras公社の民営化計画のAシナリオとして、連邦政府はEletrobras公社の持ち株の大半を譲渡、臨時歳入を国庫庁の収めて財政改善を図る。 またBシナリオとして、Eletrobras公社は増資で資金調達する一方で、連邦政府の持ち株比率は大幅減少の2つのシナリオが検討されている。
Eletrobras公社の民営化入札は2018年上半期に予定されており、国庫庁にとって最大で170億レアルに達する臨時歳入に繋がる可能性をコンサルタント会社Thymos Energia社では算盤を弾いている。
Eletrobras公社の民営化計画には、ブラジルとパラグアイ両国で共同運営されている総発電能力が1万4,000メガワットのイタイプー水力発電所並びに原子力発電所の総発電能力が640メガワットのアングラ1号と1,350メガワットのアングラ2号を擁するEletronuclear公社は除外されている。
Eletrobrasでは、総発電能力が1万7,300メガワットのフルナス電力公社(Furnas )や総発電能力が1万331メガワットのサンフランシスコ水力発電公社(Chesf )民営化の可能性が指摘されている。
また総発電能力が9,294メガワットの北部電力公社(Eletronorte)、総発電能力が2,100メガワットの南部地域電力公社(Eletrosul)、総発電能力が1,073メガワットのAmazonas GT, 総発電能力が840メガワットの火力発電所公社(CGTEE)なども外資系企業への放出が可能となる。(2017年8月23日付けエスタード紙)