石油の国際コモディティ価格低迷や連邦警察の特別捜査「ラヴァ・ジャット作戦」汚職疑惑によるペトロブラス石油の相次ぐ元経営陣幹部の逮捕者続出、米国格付け会社による格下げ、株価の大幅下落、ドル高の為替、商業銀行からのクレジット停止などの要因で、ペトロブラスでは自社資産放出による負債軽減が急務となっている。
ペトロブラスは、投資金調達のために傘下の家庭用プロパンガス配給会社Liquigas社をコンペティターのUltraグループ傘下Ultragaz社に25億レアル~30億レアルで譲渡したと見込まれている。
ペトロブラスによるLiquigas社の放出は、2015年~2016年の自社資産売却計画151億ドルに組み込まれていたが、現在まですでに90億ドルに相当する資金調達につながっている。
Liquigas社の家庭用プロパンガスの国内シェアは22.6%、一方Liquigas社を吸収するUltragaz社のシェアは23.0%と業界トップであるために、日本の公正取引委員会に相当する経済防衛行政審議会(Cade)の承認を得て売買が成立する。
ペトロブラスによるLiquigas社の売却には、オランダ資本SHV社並びに Gavea Investimentos 社、トルコ資本Aygaz社、 National Gas社並びに Copagaz社がコンソーシアムを組んでLiquigas社買収に名乗りを上げていた。
ブラジル資本Ultragaz社によるブラジル資本Liquigas社の買収は、7月のUltrapar社が21億7,000万レアルでイピランガ社傘下の Alesat 社を買収、また8月のUltra社並びにChevron社と潤滑油セクターでのジョイントベンチャー設立に続く業界再編の傾向を示している。
今年9月末のUltrapar社の純負債は58億レアルで1年前の57億レアルの水準を維持、Ebitdaに対する負債比率は僅かに1.5倍、今年初め9カ月間の売上は前年同期比6.0%増加の583億レアル、Ebitdaは11.0%増加の31億レアル、純益は12%増加の11億レアルとなっている。
ペトロブラスの2017年~20121年の5か年の資産売却計画による資金調達は195億ドルを見込んでおり、Petroquimica Suape 社の売却、メキシコ資本Alpek社へのCitepe社売却が予定されている。(2016年11月17日付けヴァロール紙)