オランダのハーグに本拠を置くオランダと英国の多国籍企業シェル社は、今後5年間でブラジル国内の石油・天然ガス開発向けに100億ドルの投資を行うと発表した。
埋蔵量が80億バレル~120億バレルと予想されていた岩塩層下(プレソルト)原油開発のサントス海盆リブラ鉱区は、2013年に入札が実施され、ペトロブラス石油公社が牽引したコンソーシアムが落札していた。
ペトロブラス石油公社のサントス海盆リブラ鉱区の権益はコンソーシアムの中で最高の40%、シェル社は20%、フランス資本 Total社は20%、中国海洋石油(CNOOC)並びに中国石油天然ガス集団(CNPC)は、それぞれ10%の権益を所有している。
またシェル社はすでにブラジル国内で2014年にコザン社とジョイントベンチャー企業Raizen社を設立して燃料配給市場に参入しており、2017年に実施予定の石油・天然ガス開発向け入札にも積極的に参加を予定している。
ペトロブラス石油公社は、プレソルト原油開発では全ての鉱区の30%の資本参加が義務付けされていたにも関わらず、プレソルト原油開発法案改正で参加義務から解放されたために、外資系企業の有望な鉱区への参入が容易となって、今後は石油の国際コモディティ価格上昇に伴って参入が相次ぐと予想されている。
プレソルト原油開発向け法案改正や資本財の現地調達率改正を見極めたいとブラジルシェル社のアンドレ・アラウージョ社長は説明、同社はプレソルトのガット・ド・マット鉱区の石油開発も行っている。
連邦政府は、国内の造船産業を活性化するために設けた石油・天然ガス開発向け資本財の現調率55%の影響で、国内のプラットフォームFPSOの建造費は輸入FPSO価格を大幅に上回るなどの問題が発生していた。
今後の外資系企業の石油・天然ガス開発部門への参入を促すには、早急なプレソルト原油開発法案改正が必要となっている。今年のシェル社の世界の投資総額は290億ドル、2017年は250億ドルをそれぞれ予定している。(2016年11月10日付けヴァロール紙)