ペトロブラス石油公社は、2008年に日本並びにアジア地域進出への前線基地として沖縄の南西石油の株式87.5%を7,200万ドルで買収、残りの12.5%の株式の売買契約も成立していた。
しかしラヴァ・ジャット作戦汚職事件に対する捜査妨害容疑で、労働者党(PT)重鎮のデルシリオ・アマラル上院議員が逮捕され、同氏の報奨付証言で南西石油の買収価格の不正が明らかになっていた。
ペトロブラスが2006年に米国のパサデナ製油所の株式買収をしたとき不当に高い価格で買収して、同社の重役陣の汚職疑惑が発覚したが、南西石油も買収価格の不正操作疑惑が持たれていた。
ペトロブラスでは2010年に南西石油を完全子会社化して、ブラジルから原油などを輸出、沖縄県内やアジア市場に石油派生品を供給していたにも関わらず、石油の国際コモディティ価格下落やアジア市場戦略変更などの要因で、2011年には南西石油の投資計画を変更して売却先を探していた経緯があった。
昨年の南西石油は、36タンクで貯蔵能力が950万バレルを擁して日量約10万バレルの原油処理能力を持つ製油所をフル稼働して、沖縄県内のガソリンや軽油など50%のマーケットシェアを擁していた。
ペトロブラスでは、負債軽減並びにコア事業に資本を集中させるため自社資産の放出を積極的に行っており、2015年~2016年の自社資産売却150億ドル、2017年~2018年には195億ドルの資産売却を予定している。
今年6月30日時点のペトロブラスの負債総額は3,323億9,000万レアルで世界の石油関連企業では最大の負債総額を抱えており、早急な資産売却による負債軽減を余儀なくされている。
1億2920万ドルで南西石油を買収して東京に本社を置く太陽石油は、非上場企業であり、1カ所の石油精製所並びに8カ所の石油配送ターミナルを擁している。
9月末にカナダ資本ブルックフィールド・アセット・マネジメント社は、52億ドルでペトロブラス石油公社傘下の天然ガスパイプライン事業(NTS)の株式90%の買収をしている。(2016年10月18日付けエスタード紙)