ペトロブラスは岩塩層下原油(プレソルト)開発で、全てのプロジェクトに対して30%の資本参加の特権を与えられていたにも関わらず、ペトロブラスが資本参加をして2011年に設立されたプレソルトの原油・天然ガス開発向け28隻のプラットフォームFPSO建造する目的で設立されたSete Brasil社向けのファイナンスやブラジル造船業活性化のための原調率問題、石油の国際コモディティ価格の低迷などの要因で、プレソルト開発が完全にス トップしている。
ジウマ政権の下で進められていたプレソルト開発向けのFPSO建造は、国内造船業界を復活する目的のために現調率55%に定めたにも関わらず、国内のプラットフォームFPSOの建造費は輸入FPSO価格を大幅に上回っている。
ペトロブラスは、サントス海盆リブラ鉱区向けのプラットフォームFPSO建造のアジアの造船会社への発注許可を国家原油庁(ANP)に要請しており、また外資系銀行によるファイナンスも容易となると見込まれている。
膨大な原油埋蔵量を誇るサントス海盆リブラ鉱区のペトロブラス石油公社の権益は、コンソーシアムの中で最高の40%、フランス資本 Total社並びに英国/オランダ資本のシェル社は20%、中国海洋石油(CNOOC)並びに中国石油天然ガス集団(CNPC)はそれぞれ10%の権益を所有していた。
今年上半期にペトロブラスはリブラ鉱区向けのプラットフォームFPSO建造の国内造船企業に対して入札を実施、Modec社並びに SBM社、 BW Offshore社、コンソーシアム Bluewater/Quiroz Galvaoが応札していた。
しかし唯一Modec社が入札条件を満たしたにも関わらず、Modec社が提示したプラットフォームFPSOの建造価格は海外の造船企業よりも非常に高いために、ペトロブラスは、海外造船会社への発注許可を国家原油庁(ANP)に要請している。
ペトロブラスに対する石油プラットフォームやタンカーなどを建造している造船会社の親会社であるゼネコン大手の大半は、ペトロブラスに関連した贈収賄疑惑から連邦警察の進めるラヴァ・ジャット作戦による汚職問題で摘発を受けている。
ペルナンブーコ州のアトランティコ・スール造船並びに南大河州のリオ・グランデ造船、バイア州エンセアーダ・ド・パラグスー造船がそれぞれペトロブラスのFPSO建造を請け負っていたにも関わらず、ファイナンス問題などでFPSOの納入に困難をきたしている。
ジウマ大統領弾劾成立後のミッシェル・テーメル新政権では、サントス海盆に位置するカルカラ鉱区と呼ばれるBM-S-8鉱区権益をノルウエー資本Staroil社に売却、今回の海外造船企業によるFPSOの建造許可が下りれば、今後のプレソルト関連投資を大きく左右すると注目されている。(2016年9月18日付けエスタード紙)