過去2年間に亘って継続していた経済リセッションや高止まりする失業率、高いインフレによる実質賃金減少などの要因で、マナウスフリーゾーンの各メーカーでは売上減少で、ベテラン従業員の雇用維持に困難をきたしている。
連邦政府によるマナウスフリーゾーン向け税制優遇政策250億レアルの補助金だけでは、過去2年間に25%も売り上げが減少しているマナウスフリーゾーンを活性化することは不可能となっていた。
しかし昨年下半期から継続するレアル通貨に対するドル安の為替による輸入製品価格減少、更に2015年末までに正当な理由による解雇や自主辞任による退社、また退職後も引出せずにいた勤続期間保障基金(FGTS)に積み立てられた凍結預金の引出が3月10日から開始、またメーカーの在庫一掃による生産の再開につながると期待されている。
今年初め2カ月間のアマゾナス州のメーカーの部品輸入は、全国平均の15.7%を大幅に上回る前年同期比27%増加、特に資本財の輸入は28%、中間財は15.7%、工業製品材料は25%それぞれ増加している。
今年1月のアマゾナス州の工業製品生産は、前年同月比7.5%増加してブラジルの全国平均の1.4%増加を大幅に上回っており、前月比では0.5%増加したにも関わらず、ブラジルの全国平均は0.1%減少している。
勤続期間保障基金(FGTS)に積み立てられた凍結預金の引き出し期間は、今年3月10日~7月31日迄、凍結預金の引出総額は400億レアルに達すると予想、凍結預金は初めに負債返済に宛がわれると予想されており、40%が一般消費に回ると予想されている。
マナウスフリーゾーンの工業生産は昨年11月から増加に転じており、今年初め2カ月間の商品流通サービス税(ICMS)の歳入は、前年同月比5.01%増加の12億1,000万レアルを記録したとアマゾナス州政府財務局では発表している。
ドルの為替に対するレアル高は、輸入部品の価格低下でメーカーにとってコスト安に繋がり、また大半のマナウスフリーゾーンの製造メーカーは空輸による部品輸入を行っているため、為替安の効果が短期間に表れるとブラジル貿易会(AEB)のジョゼ・アウグスト・デ・カストロ会長は説明している。
マナウスフリーゾーンで電気製品を製造するMondial社の今年初め2カ月間のDVD ならびにTabletコンピューター、音響機器の売上は20%増加、これらの電気製品増産のために100人の従業員を急募して雇用している。
マナウスフリーゾーン監督庁(Suframa)の発表によると、2015年のマナウスフリーゾーンの工業製品販売は前年比9.28%減少、2016年は6.14%減少と2年連続で大幅な前年割れを記録していた。
昨年のマナウスフリーゾーンの製造メーカーの売上は、744億1,000万レアルでドル換算では218億5,000万ドルに留まっており、2015年の792億9,000万レアルよりも50億レアル近く減少していた。
昨年のマナウスフリーゾーンの製造メーカーの従業員総数は、前年比18.5%減少の8万5,574人と過去5年間で最低、電気・電子セクター並びに情報機器セクターだけで1万人が解雇されており、2016年のマナウスフリーゾーンの解雇総数は3万2,619人に達していた。
またマナウスフリーゾーンの繊維セクターの従業員は50.63%減少、玩具セクターは43.98%減少、非鉄金属セクターは39.56%減少、マナウスフリーゾーンのサラリー支給総額は8.2%減少の1億9,700万レアルに留まった一方で、平均サラリーは前年比14.3%増加の2,488.89レアルに増加していた。(217年3月29日付けヴァロール紙)