省エネでハイテク、快適な使い心地を持った高品質の製品を求める消費者が、次第に増えている。消費者は、 製品を購入することで得られるものに期待しているのだ。
電気電子業界は、喜ばしいことに、ブラジルの消費者が抱くあこがれと願望をかなえる方向へ進んでいる。ここ数年にわたってEletrosは業界と消費者のこうした調和に向けた啓発と理解の促進に多大な努力を傾けており、その結果、業界にとって、それが重要な意味を持つようになった。
ブラジルの多くの別業種と同様、電気電子業界は過去数年、国民の生活水準の向上と、通貨の安定、雇用水準の上昇、可処分所得の増加、さらに消費者への融資条件の改善といった、環境の変化の恩恵を受けた。 電気電子業界の各種データはいずれも、このような新しい国内経済環境をダイレクトに反映している。だが、発展は単に量的な部分に止まらず、むしろ、質的な部分を中心に進んでいる。
私たちの業界が到達した新たな境地を如実に証明する、ある事実について、単純ではあるが業界の変化を極めて象徴的に示す例なのでここで紹介したい。それは、贅沢品と位置付けられて、これまでブラジルの家庭に普及してこなかった全自動洗濯機の販売だ。この全自動洗濯機の販売台数は、2008年に280万台だったが、2012年には500万台に驚くような伸びを示した。これは、製造と販売の自然増とに止まらず、大衆の消費パターンに変化があったことを示している。
しかもそれは、一部の限られたケースではない。既にブラジル家庭の「基本的」調度品になっているテレビも、品質を向上させて多機能化し、さらに、過去数年で獲得してきた技術変化の中で消費に重要なポジションを確保した。 別の表現をするなら、多くの消費者が機器を買い替え、工業部門が開発してきた新しい体験を手にしようと判断したということ。 全体を俯瞰すると、業界の数字は極めて印象的だ。2007年に国内で販売されたLCD/プラズマ方式のテレビは全体の8.8%を占めたが、2012年には、全体の91.5%に達した。絶対数で見ると、同じ期間にLCD/プラズマ方式のテレビの販売台数は99万4,000台から1,314万9,000台に拡大した一方、従来型は1,030万台から121万5,000台に縮小した。
テレビの場合、こうして得られた数字以上に、この傾向が継続しているということが重要だ。 2011年の場合、いわゆるスマートテレビが全体の20%を占めたが、2012年にはこの比率が30%に上昇、そして2013年には60%に達することが確実視されている。 その上、3Dテレビが2013年に12%から15%程度を占めると見られることも忘れてはならない。こうした数字を総合すると、2013年にブラジル国内で販売されるテレビの70%以上が、新たに開発された技術を備えたものになる。
ここに示した例は、2つの、極めてポジティブな話題を示唆する。1つ目は、業界が、将来を見越し、最新のトレンドに配慮した上で投資したこと。2つ目は、昨日までは製品の省エネが業界の議論の的だったが、今や、持続可能性が電気電子業界に特有の課題として、生産チェーン全体が受け止めているということだ。
省エネと高い技術、使い心地の良さを備えた製品を求める消費者が増えているのが現実だ。 そして、消費者は、製品を購入することで得られるものに期待しているのだ。
総合すると、電気電子業界は、喜ばしいことに、ブラジルの消費者が抱くあこがれと願望をかなえる方向へ進んでいる。しかも全国電気電子生産者協会(Eletros)は過去数年にわたって、業界と消費者がこのように歩調を合わせることが業界にとって重要な課題だと、啓発と理解の促進に多大な努力を傾けてきたのだ。
Eletrosはさらに、より強力な業界団体になるという点でも努力を重ねており、2010年当時24社だった加盟企業は、現在、32社を数える。これまで以上に力を集結し結束力を高めたことで、ここ数年は、デジタルテレビの導入と、それに続くインテラクティブ機能、ジンガ(GINGA)規格の策定のように、極めて広範囲なテーマの議論において、政府への具申と社会への提案など、業界の声を発信してきた。Eletrosの実績としてこの他に注目に値するものとして、業界の競争力を大きく高めた工業製品税(IPI)減税の継続措置を中心とした、財務省との租税問題に関する一連の交渉がある。
さて、膨大な活動事例がある中で、ここではアルゼンチンが導入した貿易障壁、あるいは固形有機廃棄物に関する新しい国家政策関連に関する対応について思い出していただきたい。種々の活動は当協会の日常業務の中心であるが、タイムリーな活動以上に重要なものとしてEletrosがこのところ取り組んでいるのは、こうした一般原則問題だ。
この一般原則を他社の手にゆだねることはできない。なぜなら、熾烈な競争が展開される電気電子業界への取り組みと、ブラジルの消費者が抱く憧れの実現を目指すこと、そして、国外の競合会社との公正なビジネス環境の整備と私たちの業界の発展に対して、骨身を惜しまず取り組むのは、ほかならぬ私たちでしかないからだ。
当協会の目的の実現と組織の強化に向けた取り組みは、もちろん、果てしなく続く道のようなものだ。 だが、ブラジル経済と人々の充足感にとって電気電子業界が重要な役割を果たすのだと、政府と社会と建設的な対話を積み重ねることができるように、この道は、既に十分な地ならしを終えつつある。(エレトロラールニュース 第83号) 篠原一宇、全国電気電子生産者協会(Eletros)審議会会長(2010―2013)